リアル店舗とECサイト運営におけるERP選定のススメ

#ERP#各論#API連携#EC#店舗管理#POSレジ#WMS
リアル店舗とECサイト運営におけるERP選定のススメ

皆さんはERPをどういう基準で選びますか?第一回のコラムでAPI連携について少し触れましたが、実はERPを選ぶ上でAPI連携は非常に重要なポイントとなっております。そこで今回は、API連携についてもう少し詳しく解説するとともに、ERPの選定ポイントを、具体例を交えて説明したいと思います。

そもそもAPI連携とは?

「API」とはApplication Programming Interfaceの略で、「API連携」とは、自社のシステムと外部のシステムを連携させたり、外部のシステムを呼び出して利用することを指します。言い方を変えれば、何らかのシステムを提供する者が、外部に対し当該システムを利用できるように、システムの一部を公開し、外部の者がそのシステムの公開された範囲の中で利用できるようにする仕組みです。身近な例では「Twitter API」があります。「Twitter API」を使えば、ツイート・タイムラインの収集、いいね等の機能をTwitterを経由せずに利用できますし、他のSNSにも同じ投稿を同時に行うこともできます。

また、「銀行API」にはお世話になっている方も多いのではないでしょうか。会計ソフトや家計簿アプリ等のシステムでは「銀行API」を利用することによって、口座残高を確認したり、入出金処理をしたり、明細を取得できたりと大変便利です。その他にも、個人のブログや企業のWebサイトに地図を挿入したり、会員サイトにログインする際にSNSや検索エンジンのアカウント情報を利用したりと、非常に多くの場面でAPI連携は活用されています。

API連携のメリデメ

API連携は上記のように非常に便利なものですが、その他にもメリットがあります。そもそもAPI連携を利用しないと、必要なシステムを一から開発しなければならないので多くの費用と時間がかかってしまいます。API連携を利用すると、開発にかかる費用や時間を必要とせずに、すぐに必要なシステムを使うことができるので、これはAPI連携を利用する側にとって大きなメリットといえます。

一方でデメリットとして考えられるのが、特定のAPIに依存するシステムだとその特定のAPIが仮に仕様を変更したり、提供そのものを停止したりした場合、自社のシステムが不具合を起こす場合です。このようなリスクを回避する意味でも、特定のAPIに依存することはなく、あくまで自社システムの補完機能として捉え、連携のバランスを考える必要があるでしょう。

ERPは「製品機能」と「API連携機能」のセットで選ぶべし

これまでの説明でピンときた方もいらっしゃるかと思いますが、ERPに限らず自社システムはAPI連携の「ハブ」であり、APIは自社システムを補完するためになくてはならないものだといえます。特にERPは「基幹業務システム」ですので、ERPが有する機能に即したAPI連携が充実しているのとしていないのとでは、特定の業務のみならず企業経営の在り方をも左右するといって差し支えないでしょう。

したがって、ERPを選定する際には、ERPそのものの機能だけでなく、どのようなAPI連携が可能であるかもしっかりと確認する必要があります。もちろん、選定の前段階として「システムを導入する前に考えておくべきポイント」で説明した事前準備も忘れずに。

リアル店舗とECサイト運営におけるERP選定のススメ

当社のERPは「在庫」が一つのテーマとなっていますが、例えばリアル店舗とECサイト両方の運営をしている企業はどのようなERPを選ぶと良いのでしょうか。

当たり前ですが、ECサイトを運営するためにはAmazon、楽天、Yahoo!ショッピングといったECモールに出店するための専用のシステムが必要です。その専用のシステムは「ECカート」といって、商品ページ作成、カート機能、注文受付機能、決済方法・配送先の選択機能、売上管理機能等を有しており、多くのECサイト事業者は「ECカート」を導入しています。そうしたECサイト特有の機能である「ECカート」の連携が可能なERPを選ぶのは前提条件といってよいでしょう。

次に、リアル店舗・ECサイトといった異なるチャネルの販売、購買、在庫を一元管理するにはどうすれば良いかを考える必要があります。そこでポイントとなるERPの機能が、「販売管理」「購買管理」「在庫管理」で、API連携として備えてほしいのが、「POSレジ」と「WMS」です。ここでは「POSレジ」と「WMS」にスポットをあてて説明していきます。

「POS」はPoint Of Saleの略で、直訳すると「販売地点」となります。「POSレジ」とは、一般的に売上が発生したタイミングで商品の値札に付いているバーコードをスキャナーで読み取り、その商品の部門・品名・価格などを画面に表示し、レシートに印刷して、同時にレジ本体のメモリーに情報を記録するシステムを指します。ERPの販売管理を「POSレジ」とAPI連携することで、リアル店舗の販売により在庫が変動するとECサイトの在庫も自動で連携されるので、リアル店舗・ECサイトの売上と在庫をまとめて管理することができます。また、こうして蓄積されたデータを活用して売上アップや売れ残りの削減などに役立てることも可能となります。

「WMS」はWarehouse Management Systemの略で、倉庫管理システムを意味します。基本的には商品の入出庫、保管といった管理を自動化するシステムです。在庫を抱える企業は、自社の商品を自社もしくは外部委託している倉庫に入出庫、保管をしていますが、キチンと在庫管理ができていないと欠品が生じて機会損失につながるだけでなく、顧客満足度の低下を招きかねません。ERPの在庫管理でリアルタイムに在庫を引き当てて適正在庫を維持し、更にWMSのAPI連携によってリードタイムの短縮や経費の削減をサポートすることができます。

その他、送り状や各種帳票の発行・管理といった煩わしいバックヤード業務もAPI連携によってシステム化・効率化を図ることができますし、決済システムのバリエーション等も選定基準として考慮しておいた方がよいでしょう。

まとめ

上記は一例ですが、自社のビジネスモデルをシステム化・効率化する上でどのような機能が必要かを具体的にイメージし、ERPそのものの機能とAPI連携を組み合わせることを検討していくことが成功のポイントだと考えます。上記の例では、異なるチャネルの販売、購買、在庫の管理がシームレスに実現できるだけでなく、ERPにはほぼ財務会計機能が備わっておりますので、煩雑な経理作業も正確に処理することができるようになります。リアル店舗とECサイト両方の運営をしている企業には、こうした条件を満たすERPを選ぶことをおススメします。

この記事を書いた人

ライター
株式会社キャム 取締役COO

下川 貴一朗

証券会社、外資・内資系コンサルティングファーム、プライベート・エクイティ・ファンドを経て、2020年10月より取締役CFOとして参画。 マーケティング・営業活動強化のため新たにマーケティング部門を設立し、自ら責任者として精力的に活動している。

Contact

お問合わせ

キャムマックスをもっと詳しく

「詳しい機能を知りたい」「自社に合っているか相談したい」「オプションも含めて見積を出してほしい」など、お気軽にお問合わせください。

無料トライアルお申込み

無料で60日間お試しいただけます。
圧倒的なコストパフォーマンスをご体感ください。

トライアルお申込み