コロナ禍で思い知ったキャッシュ・イズ・キング

#総論・概論#経営管理
コロナ禍で思い知ったキャッシュ・イズ・キング

キャッシュフロー(現金収支)は、企業の業種・業態・規模を問わず経営の根幹であること、大企業に比べて財務基盤や借入余力に乏しい中小企業には一層重要な経営指標であることは想像に難くないでしょう。 最近は鳴りを潜めましたが、コロナ禍となる前は現預金を潤沢に保有している場合にそれは資金を持て余していると見做され、設備投資やその他の成長投資に回すか増配しろと株主からせっつかれていた上場企業も多くありました(今もよく見られる光景ですが)。 しかしコロナ禍となってからは現預金が潤沢にある方がむしろ「継続企業の前提(ゴーイング・コンサーンといいます)」等の観点で市場から評価されているくらいです。 昔からある言葉ですが、この時期に「キャッシュ・イズ・キング(現金こそ王様)」を方々で見聞した方も多いのではないでしょうか。今回はそんなキャッシュの重要性について、小話を交えながら説明していきます。

至言「利益は意見、キャッシュは事実」とは?

皆さんは「利益は意見、キャッシュは事実」という言葉を聞いたことはありますか。英語では「Cash is reality. Profit is a matter ofopinion.」と表現されます。 利益あるいは利益を決める会計ルールは、経営者がある程度裁量を持って選択することができ、誤解を恐れずに言えばその裁量の分だけ操作ができることになります。 代表的なのは固定資産の減価償却や減損等です。一方でキャッシュフロー、すなわち現預金の収支は操作しようがなく、たった一つの事実がそこにあります。 そうした違いを端的に表した至言が「利益は意見、キャッシュは事実」であり、人に依って良くも悪くも見せることのできる利益や会計よりもリアルなキャッシュの動きを注視すべきということを私たちに教えてくれています。

企業は赤字になったから潰れるのではない

毎月の収益と費用の差である利益がマイナス、つまり赤字であってもキャッシュフローが回り続けている限り企業は倒産したりはしません。 逆に言えば、黒字だろうが無借金だろうがキャッシュが回らなくなった場合、取引先や社員から信用を失うだけならまだしも、最悪の場合倒産に至ってしまいます。 黒字倒産という言葉を聞いたことがある方もいるかと思いますが、これは売上の回収サイトよりも費用の支払サイトの方が早すぎる場合、いくら会計上はしっかり利益が出ていても、キャッシュフローの問題で事業の継続が困難になり、倒産まで至ってしまうことを意味します。

個人の家計に置き換えるともう少しイメージしやすいかもしれません。例えばあなたは色々なところから借金をし過ぎて、その結果1,000万円まで借金が膨れ上がっていたとしましょう。 預金はわずかで、車等の資産を売ってもとても借金を返せる額にはならず、資産<負債の債務超過の状態です。毎月の給料は50万円ありますが、元金と利息で毎月10万円返済に充て、残り40万円は生活費や遊興費等で次の給与までギリギリ、もしくは若干足りなくなるからまた借金してしまうといった生活を繰り返しているとします(なかなか目も当てられない状況ですが・・・)。こうした債務超過で家計が赤字の状態であっても、なぜか近々に自己破産しなければならないといった差し迫った状況にはなりません。

一方で、借金には個人の収入や資産、返済履歴(クレジットヒストリーといいます)等によって借入可能な限度額が設定されており、返済が順調に進んでいる、あるいは収入が増えない限りはいずれ借入余力が限界を迎え、 いつかはこれ以上借金ができない状態に到達します。問題となるのは、そうなる前に収入を増やすか費用を削るかしないとキャッシュインよりもキャッシュアウトの方が大きくなり、その時点で支払遅延等を引き起こし、最終的には自己破産等のいわゆる「詰み」の状態となってしまうことです。

個人を例に取りましたが、程度の差はあれ企業も同じ様な状態に陥ると詰んでしまいます。詰んでしまう前に 収益をアップさせる、費用を削減する、回収・支払サイトを改善する、借入している銀行に相談して返済スケジュールを猶予してもらう等の措置を取り、キャッシュフローがマイナスとなる状態から脱却し、保有する現預金の水準を適正化しなければならないということです。

まとめ

今回はキャッシュあるいはキャッシュフロー経営の重要性について簡単に説明しました。大事なのはその重要性を理解した上で、次にキャッシュフローがしっかり回っているのか、今後はどうなのかといった分析をし、具体的な改善プランを作成・実行していくことです。キャッシュフローの分析では、例えば次のような指標を使い過去数年の実績や将来の計画からその水準を把握していきます。

EBITDA

営業利益+減価償却費で計算でき、PLから簡易的にキャッシュフローが回っているかを図ることができる

営業キャッシュフロー比率

営業キャッシュフロー÷売上高で計算でき、売上高からどの程度営業キャッシュフローが創出されたのかを把握できる

営業キャッシュフロー流動負債比率

営業キャッシュフロー÷流動負債で計算でき、1年以内に返済が到来する流動負債を営業キャッシュフローでカバーできているのかを把握できる

キャッシュコンバージョンサイクル

売掛債権と棚卸資産の回転日数から買掛債務の回転日数を差し引いた日数で計算され、日数が少ないほど資金繰りが良い

こうした指標を基に分析を進め、キャッシュフローの源泉たる売上高を向上させたり営業利益を改善させたりするPLベースでの検討や、債権・債務・在庫の管理を適正化させるといったBSベースの検討をしていきます。そしてこうした分析は会計ソフトやERPを使えば関連するデータを効率よく網羅的に収集でき、多角的に分析・検討をしていくことが可能ですので、キャッシュフロー経営の観点で導入・利用を検討してはいかがでしょうか。

この記事を書いた人

ライター
株式会社キャム 取締役COO

下川 貴一朗

証券会社、外資・内資系コンサルティングファーム、プライベート・エクイティ・ファンドを経て、2020年10月より取締役CFOとして参画。 マーケティング・営業活動強化のため新たにマーケティング部門を設立し、自ら責任者として精力的に活動している。

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