今こそ考える「自社の本当の価値」

#総論・概論
今こそ考える「自社の本当の価値」

先行き不透明で予測困難なVUCAと呼ばれる今の時代、特にコロナ禍において急速に普及しつつあるDX化の波で、目先の対応に四苦八苦し、自らの立ち位置が見えなくなっている会社様も多いのではないでしょうか。 ビジネスの基本や本質は「顧客に価値を提供すること」にあると言われます。 ではその「価値」とは何でしょうか。 DXやペーパーレス、テレワークなどの手段を考える前に、自社の根源的・本質的な価値がどこにあるのか?本当に注力すべきポイントは何なのか?を今こそ再考すべきでしょう。 というわけで今回は自社の本当の価値とは何かについて説明していきます。

多くの会社が勘違いしている自社の価値

冒頭の通り、ビジネスの基本や本質は「顧客に価値を提供すること」にあるというのはほぼ万人が納得するところだと思います。しかし、その「価値」が会社(サービスの提供者)と顧客(サービスの受益者)との間でズレが生じていると、なかなか自社の業績は向上しないことになるでしょう。 「分かり切ったことを」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、自社が真に提供すべき価値を正しく理解することはとても難しいことです。

例えば、当社のような法人向けのソフトウェアを開発・提供している会社の価値とは何になりますでしょうか。ソフトウェア会社の経営者やエンジニアに聞けばほとんどが「製品力」や「開発力」と答えるかと思います。確かに商材であるソフトウェア自体の機能・性能は重要ですし、それを可能とするエンジニア達の開発力は価値の源泉と言えそうですね。

しかしそれはあくまで自己評価に過ぎません。大事なのは顧客がどう考えるかです。正味の話、顧客から見れば「ERP」だろうが「●●管理システム」だろうが「クラウド●●」であろうが大抵は同じものに見えます。にもかかわらず大抵のソフトウェア会社は同じ様な謳い文句で提案を仕掛けてきます。

顧客は通常の業務をこなしながら、忙しい合間にソフトウェア会社からの提案を聞いていることでしょう。つまり顧客には一つ一つのソフトウェアの特徴・強みをつぶさに調べている暇はなく、早期に選定・結論を出し、決裁者に稟議を申請し、あるいは経営会議や取締役会にて承認の決議を得たいのです。そうしたことを想像せず、ただひたすらに自社の「製品力」や「開発力」を説いてもそれはソフトウェア会社の自己満足に過ぎず、結局このソフトウェアでなければならない決定的な理由は何なのか?といった、顧客が選定や結論を出す上で最も知りたいことが分からず仕舞いで時間をムダにしてしまいます。

顧客が最も求めるのはソフトウェアの「製品力」「開発力」なのか?「価格」なのか?「納期」なのか?非常時の「対応力」なのか?はたまたソフトウェアではなく会社の「ブランド」「知名度」「信頼度」なのか?担当者の「人間的魅力」「セールスの訴求力」なのか?若しくはこれら全てなのか?繰り返しになりますが、自社の価値基準と顧客の価値基準にズレがないかをとことん追求して考えるべきです。そして見出した答え、すなわち「自社の本当の価値」を顧客と相対する時だけでなく、社内外のWebサイトやブログ、SNS、広告等で積極的にアピールし、訴求していくことが大事です。

なお、これまでのコラムでは顧客側が考えるべきシステム選定のポイントをいくつか説明しましたが、一方で顧客の事情を想像・理解し、彼らの検討に要する負担を少しでも軽減できるように、ソフトウェア会社自らがその強み・特徴、究極的には当該ソフトウェアを選ばずして何を選ぶかという「唯一無二性」まで分かりやすく説く努力が必要なことは言うまでもないでしょう。

フレームワークに当てはめただけでは「自社の本当の価値」は見出せない

世の中便利なもので、自社の価値を定義するための「考える枠組み」、つまり「フレームワーク」というものがあります。代表的なフレームワークは「3C分析」や「バリュー・プロポジション・キャンバス(VPC)」等です。詳しくはWeb検索してその内容や方法を調べてみて下さい。ここで申し上げたいのはフレームワークの使い方ではなく、フレームワークを使って定義した「自社の価値」が誤っている場合が多く、その主な原因は「リアルの欠如」ということです。例えば3C分析とはCompany(自社)、Customer(顧客)Competitor(競合)を整理し、自社の強み・特徴を認識した上で事業の方向性を訴求していくフレームワークですが、その内自社については、「提供できる価値」を洗い出し整理することは自己完結するため、さほど難しくはないでしょう(ただし、大会社であればそれを整理することすら難しいのですが…)。

一方で整理が難しいのは、顧客と競合の分析です。どちらにも言えるポイントとして「顧客の目線でリアルに想像したか?観察したか?」という点に尽きます。換言すれば、自社の製品・サービスを①どの業種・業態で、②どの程度の規模の、③どのエリアの、④どの部門・担当者に提供すれば最も価値が訴求できるのか?を考え、且つ顧客が比較検討するのは⑤どのような製品・サービスなのか?のリアルさ・確からしさを追求することです。顧客にヒアリングするのは当然として、ヒアリングする相手やシチュエーションを間違えると誤った整理をしてしまいます。ここが非常に難しいがために、多くの会社が「自社の本当の価値」を見誤るのです。

まとめ

今回は随分と「攻めた」内容かもしれません。また、ソフトウェア会社のくだりでは自分達の首を締めすぎている気がしなくもないですが、あくまで例え話であることを断っておきます。さて、「良い製品・サービスを作ればそれが自然と売れる」という現象は高度成長期で終わりを告げました。令和の時代、良い製品・サービスであっても売れるとは限りません。ソフトウェア会社に限らず、営利を追求する組織・会社にはすべからくこの認識を持ち、ゼロベースで「自社の本当の価値」を考え、事業活動に役立てることが肝要です。

この記事を書いた人

ライター
株式会社キャム 取締役COO

下川 貴一朗

証券会社、外資・内資系コンサルティングファーム、プライベート・エクイティ・ファンドを経て、2020年10月より取締役CFOとして参画。 マーケティング・営業活動強化のため新たにマーケティング部門を設立し、自ら責任者として精力的に活動している。

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