「中小企業白書」「小規模企業白書」を読もう!

#総論・概論#経営管理#業務効率化
「中小企業白書」「小規模企業白書」を読もう!

皆さんは「中小企業白書」「小規模企業白書」(以下、まとめて呼称する場合は「白書」という。)をご存知でしょうか。国内の法人数は約400万社あり、その内中小企業が99%以上を占めていますが、ここまで多くの中小企業があると大なり小なり似通った経営課題を抱えているものです。 白書には最近の中小企業の動向、経営課題、取組や施策が紹介されていますので、白書を読むことで、自社の経営・運営のヒントを掴めるかもしれません。 今回は白書の2021年度版を読み、システムベンダーとしての立場からこれは良いと感じたポイントを紹介していきます。

「中小企業白書」「小規模企業白書」とは?

中小企業庁が中小企業基本法、小規模企業振興基本法に基づいて毎年国会に提出する年次報告の略称で、冒頭に説明したように最近の中小企業の動向、経営課題、取り組みや施策が紹介されています。ただし、白書の全文は非常にボリュームがあり、仕事終わりや休日に読むにしては少々根気が必要となりますので、限りある時間の中で全体を掴むために先ずは白書の概要版を読むことをおすすめします。

2021年度版の中小企業白書・小規模企業白書は下記リンク先をご確認ください。

概要版

全文

所感、ポイント

先ずは筆者の所感、ポイントを述べる前に、経済産業省が「概要の概要」として白書のポイントを整理してくれていますのでそのまま紹介したいと思います。

1. 2021年版中小企業白書・小規模企業白書の特色

2021年版白書では、新型コロナウイルス感染症(以下、「感染症」という。)が中小企業・小規模事業者に与えた影響や、この危機を乗り越えるために重要な取組として、事業環境の変化を踏まえた事業の見直し、デジタル化、事業承継・M&Aに関する取組等について、豊富な事例を交えながら調査・分析を行いました。

2. 2021年版中小企業白書・小規模企業白書のポイント

総論

  • 感染症流行により、多くの中小企業が引き続き厳しい状況にある。
  • 事業環境の変化を転機と捉え、顧客のニーズや自社の強みに着目し、事業を見直すことも重要。

危機を乗り越える力

  • 財務状況を把握し、事業環境の変化に合わせた経営戦略を立てていくことが必要。
  • デジタル化推進に向けては、デジタル化に積極的な組織文化の醸成や業務プロセスの見直しなどの組織改革を、経営者が関与し、全社的に推進していくことが重要。
  • 事業承継後に新たな取組にチャレンジする企業が多く、事業承継は企業の成長・発展のためにも重要。事業承継策の1つであるM&Aはイメージが改善し件数も増加。

消費者の意識変化と小規模事業者の底力

  • 感染症流行による消費者の意識・行動の変化に着目し、新たな需要を獲得する小規模事業者も存在。
  • 地域とのつながりやSDGsへの取組は小規模事業者の持続的発展に貢献。
  • 感染症流行下の支援を通じて、商工会・商工会議所への期待は高まっている。 (出典:経済産業省 2021年4月23日 「2021年版中小企業白書・小規模企業白書をまとめました」より)

以上が白書の「概要の概要」です。

筆者としては、他の回のコラムでも環境の変化への対応や経営戦略について触れており、どれも腑に落ちるというか「そりゃそうだ」という内容でした。その中でシステムベンダーの一員である筆者としてやはり気になるのは「デジタル化推進に向けて」の部分です。

昨今、感染症という「外圧」によってようやく日本でもデジタル化に対する意識が高まってきましたが、依然として紙やFAXに縛られアナログから脱出できない、または業務が属人化・縦割り化していて全体最適が進まない等の課題を抱える企業も多くいます。また、そもそもIT・デジタル化という「手段」を自社の「目標」を達成するために、どう使っていくのか?なぜ必要なのか?が整理できていない、若しくは価値観が共有されていない企業も多いのかもしれません。上記は筆者の所感ですが、白書でも概ね似た論調になっています。

そんな中、環境の変化に対応すべくデジタル化を推進し、経営あるいは業務の改善・向上につながった事例が白書の概要版でいくつか紹介されています。例えば、

  • 動画配信、オンラインツアーをきっかけに映像制作事業を始めた企業(p.4)
  • 進出先各国の感染症拡大の影響を踏まえ、ECの活用を含んだ戦略の見直しを進める企業(p.7)
  • 従業員に寄り添い、デジタル化に向けた意識改革の推進とサービス品質向上を実現した企業(p.8)
  • 独自のIoTシステムの構築により、生産性向上と新規事業の展開につなげた企業(p.9)
  • EDI導入により、発注先50社超のデジタル化を実現した企業(p.9)

…等々。

上記はデジタル化に焦点を当てた事例ですが、その他にも、例えば感染症の拡大によって一時大幅な減収・減益に見舞われたものの、経営者自らが財務を徹底的に学び、経営目標を設定し、その上で回復への道筋について財務指標等を用いて従業員に説明、その結果感染症の流行下であっても落ち着いた事業の見直しができた事例も紹介されています(p.5)。

このように白書にはテーマごとに活きた最新の事例がふんだんに紹介されていますので、特に経営者、幹部層の方は是非ご一読の上、自社の戦略・施策に取り入れることができそうな内容はすぐに検討してみて下さい。そのクイックレスポンスこそが自社の経営・業務が好転する起点となるはずです。

まとめ

白書は、自社に似通った経営課題を抱えている中小企業がどのようにして解決していったかを網羅的に、端的に知ることができる文書であり、中小企業の経営者や幹部層の方にはどんな書籍・記事よりも優先してご一読いただきたいと考えております。また、既に白書を読んでいても、それを自社の経営・業務に活かさなければ何の意味もありません。当社自身も中小企業でありますので、一読して共感するところや痛感するところがたくさんありました。自社が将来にわたって事業を継続できるように、「読んだらすぐに考える、行動に移す」の精神で一歩ずつ前に進んでいきましょう。

この記事を書いた人

ライター
株式会社キャム 取締役COO

下川 貴一朗

証券会社、外資・内資系コンサルティングファーム、プライベート・エクイティ・ファンドを経て、2020年10月より取締役CFOとして参画。 マーケティング・営業活動強化のため新たにマーケティング部門を設立し、自ら責任者として精力的に活動している。

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