ERPと「●●管理システム」の違いとは?

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皆さんはERPと販売管理システム等の「●●管理システム」との違いを説明できますでしょうか?ざっくり言えばERPはオールインワン型のシステム、「●●管理システム」は●●の部分に特化した機能を備えるシステムということになりますが、 より詳しく知ることで自社にあったシステム選定ができるようになります。

ERPにも「●●管理システム」にもいろいろある

大前提として、一口にERPや「●●管理システム」といっても製品ごとに提供形態、提供対象、機能、価格、サポート体制等が異なりますので、画一的に論じることができない点に注意が必要です。「なぜ中小企業にこそクラウドERP」なのか?」 でも説明したように、ERPでいえば、提供形態はオンプレミス型とクラウド型の大きく2つがあり、また種類で言えば「統合型」「業務特化(コンポーネント)型」「業界特化型」「アプリケーション型」等があり、それによって提供する機能や価格・料金体系も様々です。 このように世の中には非常に多くのタイプのシステムが出回っており、一つ一つを個別具体的に整理するとなると時間がいくらあっても足りず、何より全体的な理解をすることが難しくなってしまいます。したがって、本コラムでは画一的に論じることはできないことを承知しつつ、一般的に紹介されている各システムの利用目的や機能(守備範囲)にフォーカスして説明したいと思います。

各システムの利用目的と機能(守備範囲)について

では大きなくくりとして、先ずは各システムを洗い出してみました。

  1. 基幹(業務)システム・ERP
  2. 販売管理システム
  3. 購買管理システム
  4. 生産管理システム
  5. 在庫管理システム
  6. 倉庫管理システム・WMS
  7. 店舗管理システム
  8. 人事管理システム
  9. 顧客管理システム・CRM
  10. 会計管理システム(いわゆる会計ソフト)

これだけでも結構な数ですが、他にも販売管理システムとの関連が深い 「POS(販売地点情報管理)システム」、倉庫管理システム(WMS)との対を為す「輸配送管理システム(TMS)」、顧客管理システム(CRM)の前段階を管理する「営業支援システム(SFA)」、プロジェクトや工数を管理するシステム等非常に多くの種類があります。 しかし、上述したように掘り下げすぎると埒が明かないため、従来から幅広い業種・業態に利用されてきた上記10個のシステムをそれぞれ整理したいと思います。

① 基幹(業務)システム・ERP

概要後述する「●●管理システム」の機能が複数装備され且つ統合されているオールインワン型のシステム
利用目的全社的な情報の一元管理、及びこれらの効果である経営の意思決定・見える化、業務効率化、コスト削減を図るため
機能統合型、業務・業界特化型、アプリケーション型等のタイプに分かれるものの、基本的には後述する「●●管理システム」の機能が複数備わっている

② 販売管理システム

概要いつ・誰に・何を・いくつ・いくらで販売し、いつ代金回収を行うかまでの販売活動を管理するシステム
利用目的販売活動によって生じるモノとカネの流れを管理するため
機能見積、受注、売上、請求(債権)が基本機能だが、購買管理システム、在庫管理システム、会計システム等との連携を前提に使用する、若しくはこうした他の管理機能が標準搭載されていることが多い

③ 購買管理システム

概要原材料、部品、製品(商品)の仕入、支払を管理するシステム
利用目的販売活動によって生じるモノとカネの流れを管理するため
機能発注、仕入、支払が基本機能だが、販売管理と表裏一体の活動のため、販売管理システムやERPにはほぼ搭載されている

④ 生産管理システム

概要原材料、部品、製品(商品)を生産・製造する生産活動において、モノの品質・コスト・納期を管理し最適化を図るシステム
利用目的製造業等の業種が、モノを生産・製造する一連の活動を管理するため
機能生産計画、在庫管理、販売管理、予算管理等だが、他の管理システムとの連携がほぼ前提となっている

⑤ 在庫管理システム

概要原材料、部品、製品(商品)の入出庫・保管を管理するシステム後述する倉庫管理システムとの違いは、倉庫管理システムは倉庫内が守備範囲だが、在庫管理システムは倉庫外のモノの移動まで管理する点にある
利用目的適正在庫の実現・維持のため
機能入荷・入庫、棚卸、出荷・出庫が基本機能だが、販売管理システムと購買管理システムとの連携がほぼ行われている、若しくは販売管理システム等には在庫管理機能が標準搭載されていることが多い

⑥ 倉庫管理システム・WMS(Warehouse Management System)

概要在庫管理システムと似ているが、倉庫管理システムは倉庫内の入出荷やピッキング作業等を管理するシステム
利用目的倉庫内のヒト・モノの最適化・効率化を図るため
機能入荷、在庫、帳票・ラベル発行、出荷、棚卸等が基本機能だが、在庫管理システムに搭載されている等、在庫管理システムと倉庫管理システムをセットにした製品・サービスもある

⑦ 店舗管理システム

概要リアル店舗、EC等の店舗別の売上、仕入、在庫、人員、営業、その他業務を管理するシステム
利用目的多店舗展開する企業が効率的に店舗を管理し、改善・最適化を図るため
機能店舗別の収益、費用、在庫、勤怠、給与等の管理ができる他、POSシステムやECカートと連携することで異なる販売形態(オムニチャネル)であっても一元管理できる

⑧ 人事管理システム

概要企業のヒトに関する管理を一元化するシステム
利用目的システム化による人事関連業務の効率化、人員配置の最適化による経営・業務改善を図るため
機能勤怠、給与、人事評価、採用等が基本機能だが、ERPと連携若しくはERPに人事管理機能が搭載されている場合がある

⑨ 顧客管理システム・CRM(Customer Relationship Management)

概要顧客情報を一元管理するシステム。顧客となる前の見込み顧客を管理し、顧客転化を図るためのシステムはSFA(Sales Force Automation)と呼ばれる。
利用目的顧客との良好な関係を構築・維持するため
機能顧客別の属性・情報管理、メール配信、問い合わせ機能等が搭載されている。なお、SFAとCRMがセットになってマーケティング、インサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセスが一元管理できる製品も多い。

⑩ 会計管理システム(いわゆる会計ソフト)

概要企業の経理・会計処理のすべてを記録・管理するシステム
利用目的財務会計の業務効率化を図るため
機能財務会計、管理会計、債務・支払管理が基本機能だが、他の管理システムと連携して企業活動の記録・管理をシームレスに行うことができる

まとめ

ERPと「●●管理システム」は利用目的や機能が異なりますが、完全に独立したシステムとして利用するよりは、相互に連携したり、若しくは複数の機能が一つのシステムに搭載されている場合の方が多いといえます。一方で、選定するシステムを間違うと本来必要であった機能が搭載されていない、若しくは無駄な機能が沢山ついているがその分価格も高いといったような問題も起こります。したがって、先ずは一般論としてどのような種類のシステムがあり、その中で自社に適していそうな製品群はどれか?というあたりを付けると効率よく検討が進むことでしょう。

この記事を書いた人

ライター
株式会社キャム 取締役COO

下川 貴一朗

証券会社、外資・内資系コンサルティングファーム、プライベート・エクイティ・ファンドを経て、2020年10月より取締役CFOとして参画。 マーケティング・営業活動強化のため新たにマーケティング部門を設立し、自ら責任者として精力的に活動している。

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