フロントオフィス業務とは? バックオフィスとの違いや効率化する方法
フロントオフィスとは、企業などで顧客と関わる業務を意味し、内部で支えるバックオフィスの対義語として使われます。
一般的に営業、カスタマーサポート、マーケティングなどがフロントオフィスに含まれます。
こちらの記事ではフロントオフィス業務の意味や職種、効率化する方法をご紹介します。
目次
フロントオフィスの意味とは?
フロントオフィスとは、英語の”Front Ofiice”をそのまま日本語にしたビジネス用語で、企業や組織において顧客と直接接触するような部門や職能のことを意味します。
言い換えると「営業部門」や「販売部門」になり、企業によって異なります。
バックオフィスとの違い
バックオフィスは、フロントオフィスを支えるサポートを行う部門で、経理、人事、購買、在庫管理といった業務が中心となります。
バックオフィスとフロントオフィスの大きな違いは顧客接点です。フロントオフィスは、顧客と直接接触する部門であるため企業や組織の顔となりますが、バックオフィスは、顧客との接点が限定的であるため、企業や組織のイメージに直接的な影響を与えません。
ミドルオフィスとは
ミドルオフィスとは、企業や組織においてフロントオフィスとバックオフィスの間に位置する支援部門のことを意味します。
具体的にはトレードサポート、リスクマネジメント、法務、情報技術(IT)などの業務ですが、フロントとバックオフィス以外にミドルオフィスとして分けて考えるケースはそれほど多くなく、バックオフィスに含んでいるとしても間違いではありません。
フロントオフィスの役割
フロントオフィスは、企業や組織の顔となる重要な部分であり、顧客満足度を高めたり顧客からの信頼を得ることが主な役割になります。
そのため、フロントオフィスの印象が企業全体のイメージを左右するといっても過言ではありません。
営業・カスタマーサポート・レセプションなど、フロントオフィスのスタッフは日々、顧客のニーズや要望を直接受け取り、それに応えるためのサービスや提案を行います。
そこで得られるフィードバックは、製品やサービスの改善や新しいビジネスチャンスの発見にも繋がりマーケティングにも役立ちます。
フロントオフィス業務とは
一般的には受付、電話応対、カスタマーサポート、販売促進、顧客関係管理(CRM)などの業務を意味します。
受付
フロントオフィス業務の最もわかりやすい例として挙げられるのがホテルのフロント業務です。
お客様が最初にやり取りするフロントは、ホテルの顔とも言えるため、フロント担当者の印象によってそのホテルの評価が決まると言ってもよいでしょう。
また、通販系のコールセンターなども該当します。
販売
販売員は店舗の顔として大切な役割を担っています。
店舗などで実際にお客様と対面する接客はもちろんのこと、どのような商品やサービスを提供したらよいのか考えたりします。
また、顧客との関係構築やアフターフォローも重要な業務となります。
営業
顧客に直接自社製品やサービスを売り込んでいく営業は、まさにフロントオフィスの代表で、営業の力量によって企業の売上、ひいては今後の成長が左右されます。
また、市場の動向を分析しターゲットとなる顧客に対して企業の商品やサービスの価値を伝えることが主な業務であり、高い交渉力やプレゼンテーションスキルが求められる職種です。
マーケティング
一見バックオフィスと見られそうなマーケティングも実はフロントオフィス業務です。
マーケティングは直接顧客との対応が無い場合が多いものの、やはり新規顧客の開拓や顧客満足度を上げるために存在する部門だからです。
データ分析やクリエイティブな思考が求められる職種であり、市場調査や広告、プロモーション活動の企画・実施などを通して、ブランドの認知度を高めることを目指します。
業界別:フロントオフィスの役割
ホテル業界におけるフロントオフィス
ホテル業界におけるフロントオフィスは、お客様と最初に接点をもつ大事なポジションでゲストのチェックイン・チェックアウト・予約管理・客室の案内などを行います。
また、ゲストの要望やクレームに対応し、滞在中のサポートを提供する役割も持っています。
ホテルのサービス品質やゲストの満足度に直接影響するため、高いホスピタリティが求められます。
医療機関におけるフロントオフィス
医療機関のフロントオフィスは、患者の受付・予約管理・診察の案内などを行います。
また、患者の個人情報の管理や診療に関する問い合わせに対応する役割も持っています。
患者の安心感や信頼を築くため、丁寧なコミュニケーションが求められます。
金融機関におけるフロントオフィス
金融機関におけるフロントオフィスは、顧客の資産運用やローン・口座開設などの相談を受け付ける役割を果たします。
また、金融商品の提案や資産運用のアドバイスを行うことで、顧客の資産の最適化をサポートします。
専門的な知識と高い説得力が求められる職種です。
フロントオフィスの業務効率化が進まない理由
業務効率化のために行われるDX(デジタルトランスフォーメーション)の取り組みは、バックオフィス業務に関しては盛んに進められていますが、フロントオフィスではあまり進んでいないのが現状です。
その理由として考えられるのは以下になります。
業務の特性
フロントオフィスの業務は顧客対応が中心のため、お客様を目の前にして効率化を優先させるわけにはいかないケースが多くなります。
むしろ、ゆっくりと時間をかけることが結果につながるということもあるため、業務の特性が効率化と対極にあるといってもよいでしょう。
プライバシーへの配慮
フロントオフィスでは顧客情報を扱う必要がありますが、個人情報保護の観点から年々厳しい管理が求められるようになっています。
顧客データを扱うことの難しさが効率化にとっては壁となります。
効率化のためのシステム導入や業務改善が求められる一方で、個人情報保護のリテラシーを高める社内教育やマニュアルの整備も必要となります。
チャネルの複雑化
現代のビジネスは、ECサイトやホームページなどオンラインで完結するものが増えているため、実際に顧客と対面して行う業務が減っていることに加え、こうした様々なチャネルをどのように扱うのか、どのように統合していくのかといった問題も生まれています。
フロントオフィス業務を効率化させるには、この複雑化したチャネルへの対応が先決となるでしょう。
フロントオフィスを業務効率化するメリット
このように、業務効率化が難しいといわれているフロントオフィスですが、その分実現した時のメリットは大きいです。主なメリットは以下になります。
顧客満足度向上
フロントオフィスがスムーズに業務をこなすことで、迅速な対応ができるようになります。
例えば、以前失注した顧客が再度問い合わせをしてきた場合でも、過去の折衝履歴を確認することができれば、スムーズなやり取りを行うことができます。
業務の品質が向上することで顧客からのクレームが減少し、顧客満足度が向上することが期待できます。
従業員のモチベーション向上
それまで無駄な時間がかかっていた業務などが効率化されると、従業員にもゆとりが生まれます。
フロントオフィスでは、顧客対応が従業員の気持ちに左右されることも多いため、効率化によって余計な時間をとられず本来の業務に集中できるようになります。
時間とコストの削減
アナログ管理だと、顧客の過去の記録がなかったり、どのようなやりとりをしていたのか不明確になってしまいがちです。
そのため一からヒアリングをしないといけなかったり、同じ内容の見積書を作り直すなど無駄な作業が発生します。
それらをDX化、業務効率化することで、顧客接点をいつまでも持ち続けることができるので、営業にかける時間、コストが削減できます。
フロントオフィス業務を効率化する方法
フロントオフィスの業務効率化は、企業の競争力を高め顧客満足度を向上させるための鍵となります。
以下は、フロントオフィス業務を効率化するための方法について解説します。
業務の見直し
本来であればバックオフィスが担当するような業務をフロントオフィスで行っているという場合があります。
バックオフィスで行うことができる業務はバックオフィスに任せ、フロントオフィスにしかできない業務に集中するようにしましょう。
また、定期的に業務プロセスを見直し無駄な手順やタスクを削減することで、業務の効率を向上させることができます。
業務の優先順位を明確にし、重要なタスクに集中することでより高い成果を出すことを目指しましょう。
情報の共有化
フロントオフィスの効率化には、データを蓄積して共有化する仕組みが必要です。
フロントオフィスのメンバーの間で顧客情報などが共有されていないと、同じミスをして無駄な時間が発生します。
逆に共有されていると、他の人も短期間で成功することができるでしょう。
そこでCRMなどのツールを活用することで、リアルタイムでの情報更新やアクセスが可能となり、迅速な意思決定やフォロー対応も可能になります。
システムの導入
最も効果が高いと考えらえるのがシステムやツールの導入です。
昨今のDX化の波に乗って多くのITツールやシステムが生まれており、フロントオフィス向けも増えています。
たとえば、上記でも挙げましたがCRM(Customer Relationship Management)と呼ばれる顧客管理システムなどの導入により、顧客情報の管理や業務プロセスの効率化が図られます。
これにより、顧客対応のスピードや精度が向上し効率化が期待されます。
フロントオフィス業務を効率化するシステム
フロントオフィス業務を効率化するシステムの例を見ていきます。
顧客管理システム
顧客管理システムは、顧客情報の一元管理や顧客とのコミュニケーション履歴のトラッキングを可能にします。
これにより、顧客ごとのニーズや傾向を把握しパーソナライズされたサービスや提案を行うことができます。
また、マーケティング活動の効果測定やセールスの業績管理も容易になります。
SFAシステム
SFA(Sales Force Automation System)と呼ばれる営業支援システムは、営業活動の効率化を目的としたシステムです。
主に営業担当者の業務を支援し、顧客情報の一元管理や販売プロセスの自動化、報告書の作成など営業活動に必要な様々な機能を提供します。
営業担当者の日常業務(顧客訪問のスケジューリングや報告、見込み客の管理など)を効率的に行うことができます。
これにより、営業担当者はより多くの顧客との接触時間を確保し、業務に集中することができます。
ERPシステム
ERP(Enterprise Resource Planning)システムと呼ばれる基幹業務システムは、企業全体の業務を統合的に管理するためのシステムで、企業のあらゆる業務プロセスを一元管理することができます。
ERPシステムの中にはバックオフィスだけを担うものもありますが、本来はフロントオフィスも含めた企業全体の効率化を目指すものです。
例えば、注文情報の入力から出荷、請求までの一連の流れを自動化し、業務の迅速化やミスの削減も実現できます。
フロントオフィスをDX化したいならクラウドERP「キャムマックス」
キャムマックスは、中小企業向けに開発されたERPシステムです。
大企業のようにバックオフィスとフロントオフィスの業務が明確に分かれている場合には、それぞれ異なるシステムを導入するケースもありますが、小規模企業ではすべてまとめて管理したいという要望が多いです。
こうしたニーズに応えるべく作られたキャムマックスなら、フロントオフィスやバックオフィスといった分類に関係なく効率化が可能です。
業務の効率化を目指す企業様は、ぜひ一度ご相談ください。
この記事を書いた人
下川 貴一朗
証券会社、外資・内資系コンサルティングファーム、プライベート・エクイティ・ファンドを経て、2020年10月より取締役CFOとして参画。 マーケティング・営業活動強化のため新たにマーケティング部門を設立し、自ら責任者として精力的に活動している。