脱エクセルがなぜ必要なのか?メリット・デメリットとおすすめツール
「脱エクセル」という言葉をよく目にするようになってきました。国内でエクセルを使用している企業は依然多いです。
こちらの記事では、「脱エクセル」とは何か、またなぜ今必要とされているのかについてまとめました。
目次
脱エクセルとは
「脱エクセル」とは、現在エクセルを使用して行われている企業内の様々な業務をエクセルではないツールに置き換えようという動きです。
ただしエクセルでなければ良いということではなく、あくまで脱エクセルによって業務効率化が行われるかどうかがポイントになります。
このあと詳しく説明していきますが、「脱エクセル」=「クラウド化」と考えるとツールの選択がしやすくなるでしょう。
エクセルが時代遅れとされる背景
エクセルは多くの企業や自治体で利用されていますが、その機能には限界があります。
特に、リアルタイムでの共有や同時編集の困難さなど複数人でのデータ共有の非効率性などが問題点やエクセルではデータのセキュリティやアクセス権限の管理が難しいというデメリットもあります。
これらの問題は、業務のスピードや効率が重視される現代において大きな障壁となっています。
エクセルの主な仕様と制限
行と列の制限
エクセルのワークシートは、最大1,048,576行と16,384列までサポートしています。
多くの用途には十分な容量ですが、企業で活用する大規模なデータを取り扱う場合には不足することがあります。
ファイルサイズの制限
エクセルファイルの推奨最大ファイルサイズは約2GBです(64bit版)。
ファイルサイズが大きくなると、パフォーマンスが低下しファイルの起動や保存などデータ処理が遅くなります。
クラウド時代においてエクセルが向いていないこと
大規模なリアルタイムデータ処理
クラウドベースのビジネスでは、リアルタイムでのデータ分析や処理が求められることが多く、エクセルではこのような用途に対応するのが難しいです。
また、冒頭でも説明しましたが、データ量が膨大になるとパフォーマンスが低下しリアルタイムな数字や情報を即座に反映しにくくなります。
広範なアクセス制御とセキュリティ
エクセルファイルは通常、ファイルを共有することで情報が共有されますが、各個人の管理に任せるかたちとなり、意図しない情報漏洩が発生するリスクがあります。
サーバーで一括管理するクラウドベースのアプリケーションの場合は、細かいアクセス権限の設定やセキュリティポリシーの適用が可能で管理側によって一元管理できます。
情報共有や共同作業
協業事業や分業化がすすむ中、制約なくどこからでもアクセス可能なシステムが求められています。
エクセルがこれに対応するためにはMicrosoft365などの追加サービスが必要であり、他のクラウドネイティブなソリューションに比べるとアクセスのしやすさや柔軟性に劣ります。
脱エクセルが必要な理由
「脱エクセル」という言葉が生まれた背景には、国の施策によるところが大きいと言われています。
脱エクセルが必要だと言われる原因となる施策には、以下の2つがあります。
脱エクセルとDX推進
脱エクセルを語る上で欠かすことができないのがDX(デジタルトランスフォーメーション)です。
DXとは、データやデジタル技術を駆使して業務プロセスを改善し、競争上の優位性を確立することです。
海外では2004年にスウェーデンでDXの概念が提唱されましたが、これは現在の日本政府の進めるDXの概念とは多少異なります。
日本におけるDXの概念は、平成30年経済産業省による「デジタルトランスフォーメーションに向けた研究会」から広まったものです。
令和4年9月には旧DX推進ガイドラインが「デジタルガバナンス・コード2.0」として生まれ変わり、DXの概念もビジネスに特化した内容となっています。
エクセルは現在日本の多くの企業で利用されていますが、内情は属人化が進むなどの問題が山積みです。
そこで、DXを推進するためには脱エクセルを進めていく必要があるという流れになっています。
脱エクセルと働き方改革
一方、厚生労働省が打ち出しているのが「働き方改革」です。
こちらも平成30年に「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」が成立したことを受け、日本政府によって推進されてきました。
働き方改革では長時間労働の是正が講じられていますが、業務改善により労働時間を減らすことができることはすでにわかっています。
業務の標準化をすることは、時間短縮を行う上で最も効果が高い方法と言えるでしょう。
その一つとして脱エクセルも含まれます。
多くの企業で使用されているエクセル管理も、仕様が統一されていないことが多く、業務改善が出来ない原因となっていることがあります。
そこで、脱エクセルを進めることにより、業務のボトルネックが解決したり、属人化を防ぐことができたりするので、結果として長時間労働も改善されることになります。
なぜ今「脱エクセル」が必要なのか
国の施策以外にも、現実に目を向けてみましょう。
エクセルは非常に便利なツールですが、大規模なデータセットや高度なデータ処理には限界がありデータ化が進む現代のビジネス環境では難しいケースもでてきます。
さらに、競争の激しいビジネス環境ではリアルタイムなデータ処理、迅速な意思決定や処理、自動化、効率化が求められますが、エクセルだけではそれらに対応しきれないことが多いのです。
脱エクセルを実現する方法
データベース管理システムの導入
エクセルで商品の管理などを行っている場合、データベース管理システム(DBMS)の導入を考えてみると良いでしょう。
一般的に、在庫管理システムや倉庫管理システムなどが該当します。これらのシステムはデータを効率的に格納し、簡単に検索や更新が行えます。
また、エクセルよりも大規模なデータに対応できます。
販売管理システムやデータ分析ツールの導入
売上データや販売データをエクセルで管理している場合、販売管理システムへの移行や、データの可視化や分析にはBIツールの活用を検討してみましょう。
これらのツールはリアルタイムで高度なデータ処理と視覚化を提供し、エクセルよりも効率的にデータを分析できます。
また、売上管理から商品管理までを一元的に行えるERPシステムもおすすめです。
詳しくは「脱エクセルにおすすめのツール」でも解説しています。
脱エクセルのデメリット
このように、DXや働き方改革の推進により脱エクセルが有効であることは知られてきたものの、実際はなかなか進んでいないという現状があります。
それでは脱エクセルがなかなか進まない理由は何でしょうか。
脱エクセル最大のデメリットは新しいツールの導入コストや時間です。
エクセルは無料で使用できるだけでなく使い方に関しても多くの情報があるため、始めやすいというのが特徴です。
一方、新しいツールの導入を行うと使い方を覚えるための時間も必要になります。
エクセルの場合は一度形を作ってそれに慣れてしまうと同じ作業を繰り返せばよいということが多いため、わざわざお金や時間をかけて他のツールを使う必要性がわかりにくいのかもしれません。
脱エクセルのメリット
脱エクセルは面倒でも、長い目で見ると経営管理の効率を劇的にアップすることができます。
脱エクセルの主なメリットは以下になります。
フォーマットの作成・管理を短縮できる
エクセルの場合、自社に合わせてフォーマットを作成することから始めるケースがほとんどです。
近年マクロやPythonでエクセルを便利にしようという動きも盛んになっていますが、仮に時間が短縮されたところで属人化の問題は残されてしまいます。
一方、脱エクセルを図り管理システムなどを使うと、既に管理画面が準備され、項目に沿って入力するだけで良いので、フォーマットを作成する必要がなくなります。
容量が大きくても処理が速い
エクセルの場合、データの容量が大きくなってくるとコンピュータの処理速度が遅くなることも少なくありません。
これは、エクセルで作成したフォーマットはもちろん、入力したデータもすべて使用しているコンピュータに保存されることが原因です。
一方、脱エクセルではツールそのものもデータもすべてクラウドサーバに保存されます。
ツールを提供する会社が持っているサーバなら、容量が増えてもサクサクと動きます。
同時作業ができる
実はエクセルでもMicrosoft365に含まれるバージョンであれば可能なのですが、それ以外は複数人が同時に作業することができません。
その点、脱エクセル後のクラウドツールであれば、同時に作業を行うことが可能です。結果、属人化を防ぐことにもつながります。
仮に操作を行う人が限られていたとしても、ツールのインターフェースで管理者がすぐにデータを確認することができるようになっているため、情報の見える化が実現します。
他システムと連携ができる
エクセルの場合は一つ一つのブックやシートごとでの管理になるため、それらを横断的に組み合わせたり最適なデータを見つけたりすることが困難です。
一方、脱エクセル後のツールは、様々な部署のデータをまとめて管理できるだけでなく、従来の垣根を越えて活用することが可能なものが多いです。
脱エクセルにおすすめのツール
脱エクセルが必要なことはわかっていても、実際何を導入すればよいのかわからないという場合におすすめのツールをご紹介します。
Webデータベース
エクセルは元々表計算ソフトとして作られたツールですから、膨大なデータを管理するのには不向きです。
一方「Googleスプレッドシート」などに代表されるWebデータベースと呼ばれるクラウドシステムなら、リアルタイムの共有ができないといったエクセルの欠点をある程度補うことができます。
また、これらのシステムは通常、強力なデータ分析とレポート機能を備えており、複雑なデータセットの処理も可能です。
その他、ユーザーフレンドリーなインターフェースとカスタマイズのしやすさも魅力です。
管理システム
管理システムは、特定の業務プロセスや部門向けに設計されたツールです。
例えば、顧客関係管理(CRM)システム、人事管理システム、在庫管理システムなどがあり、これらは業務の管理を簡素化し、効率化するためのクラウドベースのツールとして提供されています。
これらのシステムは、エクセルなどで手動で行っていた作業を自動化し、業務の効率を向上させるのに役立ちます。
たとえば、CRMシステムは顧客データの管理、コミュニケーション履歴の追跡、顧客分析などを一元化できます。
これらのクラウド管理システムは、社内に端末とインターネット環境があれば導入が可能です。
ERPシステム
脱エクセルの最終形態とも言えるのがERPです。
ERPシステムは基幹業務システムとも呼ばれており、企業内の経営資源をすべて統合して一元管理するシステムです。
ERPシステムでは、販売管理、在庫管理、倉庫管理、顧客管理、財務会計までを統合的に管理します。
ある程度脱エクセルが進んでいる企業でも、業務管理システムと会計ソフトが別になっていることで経理の仕事が減らないという課題も解決することができます。
脱エクセルによる業務効率化
データ管理の改善
脱エクセルにより、データはより効率的に管理されます。
クラウドベースのツールや専門的なデータベース管理システムを使用することでデータの整合性が向上し、リアルタイムでのアクセスと共有が可能になります。
自動化と効率の向上
エクセルの手動プロセスに代わり、多くの業務が自動化されます。
これにより、時間を要するデータ入力やエラーの可能性が減少し、従業員はより価値の高い作業に集中できます。
情報共有が容易
クラウドベースのツールを利用することで、複数のメンバーが同時に同じドキュメントにアクセスし、リアルタイムで協力できるようになります。
これにより、社内での情報共有が円滑に行われ、管理状況が迅速に全員に共有ができるので情報認識の相違や重複作業の防止にも繋がります。
脱エクセルより簡単なクラウドERPシステム「キャムマックス」
キャムマックスは中小企業のために開発されたERPシステムです。
早速、機能をご紹介します。
販売管理
見積、受注、出荷、売上、請求、入金など
購買管理
発注、仕入、諸掛按分、支払など
在庫管理
照会、移動、調整、セット商品、入出荷、棚卸など
財務会計
自動仕訳、経費精算、法改正対応、会計システム連携など
機能連携(API)
EC、POS、ハンディターミナル、OMS、WMS、帳票、モール、送り状システム、決済など
こうした機能はクラウドで提供されているため、複数拠点をお持ちでも場所にかかわらずいつでもアクセスして利用することができます。
エクセルのようにフォーマットを作成する必要が無いため、導入から稼働までがスピーディーです。
必要なデータをすぐに出すことができ、リアルタイムの状況を確認することができます。
脱エクセルを目指す中小企業様におかれましては、ぜひ一度キャムマックスまでご相談ください。
この記事を書いた人
下川 貴一朗
証券会社、外資・内資系コンサルティングファーム、プライベート・エクイティ・ファンドを経て、2020年10月より取締役CFOとして参画。 マーケティング・営業活動強化のため新たにマーケティング部門を設立し、自ら責任者として精力的に活動している。