財務会計システムに強くなる検定試験って何? 転職にも活かせる強いミカタ
経理職の募集要項でよく見かける「歓迎:会計ソフト使用経験あり」。
業務で頻繁に使用するとはいえ、そのスキルを客観的に証明するのは、難しいことかと思います。
身につけたスキルをアピールする、何か良い方法はないでしょうか? 実は、財務会計システムの知識を証明する検定試験が存在します。決して知名度は高くありませんが、取得することで自分のキャリアの証明になるほか、
就職・転職で有利に働く場合があります。
今回はそんな財務会計システムに特化した検定試験を大きく2つ紹介します。
財務会計システムとは
財務会計システムとは、「管理会計」と「財務会計」から成る企業会計システムのうちの財務会計を効率化するためのシステムのことです。
伝票入力や帳簿作成、決算書作成などの機能が搭載されており、社外のステークホルダーへ公開する財務会計に関するデータを扱って財務諸表を作成します。
会計システムには、「財務会計システム」のほかに「管理会計システム」と「債務・支払管理システム」があります。
経理システムと会計システムの違いとは
経理システムとは、経理業務を効率化させるためのシステムです。
つまり、会社に入ってくるお金と出ていくお金の管理をするシステムで、経理業務である会計と給与に関するデータを扱います。
機能としては、売上管理や仕入管理、自動仕訳、給与計算、決算書作成などが搭載されています。
一方、会計システムが効率化する会計業務では、経理が扱うような「お金」だけではなく、建物や設備、物品などの会社の資産全般を管理します。
このため、経理システムと同様の機能(売上管理、仕入管理、自動仕訳、給与計算、決算書作成、帳票等の出力など)に加えて、固定資産管理などの機能が搭載されています。
ただ、企業によっては、経理と会計、また、経理システムと会計システムを区別せずに同じものとして扱っているところもあります。
財務会計システムに強くなる検定試験
財務会計システムに強くなるために、勉強したり受験したりしたい検定試験には、「日商電子会計実務検定試験」と「全経コンピュータ会計能力検定」があります。
以下でそれぞれの特徴や試験方式、出題内容、受験するメリットをご紹介いたします。
中小企業の人材育成を促進 日商電子会計実務検定試験
中小企業では人材育成はとても大事なタスクになります。電子会計実務では得に優秀な人材確保が
難しいため、このような試験が重要となってきます。試験方法やメリットについて解説します。
電子会計実務検定とは
電子会計実務検定とは、日本商工会議所が主催する検定試験です。
会計ソフトの普及を背景に、簿記の知識と財務会計システムのデータをいかに組み合わせて活用するかが、今日の企業経営で要求されています。
電子会計実務検定では、特に中小企業を対象に、電子会計の定着と、これに対応する人材の育成を目的として創設されました。
電子会計実務検定の試験方式
電子会計実務検定の試験方式は、インターネットを介して普段お使いの財務会計システムにアクセスし、実際の操作を通じて回答を行います。
使用するソフトは、毎年、見直しがあります。
電子会計実務検定の出題内容
電子会計実務検定試験は、3級、2級、1級の3段階に分かれています。
レベルの目安としては、3級が学生や一般社員向け、2級が財務責任者向け、1級が中小企業経営者向けとなっています。
出題内容としては、財務会計システムの基本的な操作に始まり、決算書や資金繰り表の読み取り方、予算管理、税法の理解などがあり、実務に直結した内容となっているところが特徴的です。
電子会計実務検定を受験・取得するメリット
経理の現場では即戦力が求められます。
現在は、コンピュータによる財務会計システムの使用は当たり前ですから、スキルを客観的に証明できるという点で、資格の取得は就職・転職において有利になります。
また、1級は「上級資格」といわれ、経営者レベルの高度な知識や技能が出題されます。
取得することで、中小企業におけるマネジメント能力の証明になるでしょう。
財務会計システムの操作スキルを証明できる 全経コンピュータ会計能力検定
全経コンピュータ会計能力検定では、主に操作スキルを証明する能力検定です。多くのメリットのある検定なのでおすすめです。
コンピュータ会計能力検定とは
コンピュータ会計能力検定とは、全国経理教育協会が主催する検定試験です。
経理業務においてかかせない、会計ソフトの操作技能を証明することを目的に平成12年に創設され、平成19年には文部科学省後援の認定を受けています。
受験者の多くは情報系・商学系の学生ですが、中小企業の実務担当者にも役立つ内容になっています。
難易度は電子会計実務検定試験と比べてやや易しいです。
コンピュータ会計能力検定の試験方式
コンピュータ会計能力検定の試験方式は、筆記およびコンピュータ操作です。
筆記試験は記述式で、電卓の持ち込みが可能です。
使用する財務会計システムは、弥生会計が主流で、1級試験になるとExcelを用いた作表も出題されます。
コンピュータ会計能力検定の出題内容
コンピュータ会計能力検定には、初級、3級、2級、1級の4段階があります。
初級~3級では、財務会計システムの基本的な取り扱いや、簿記の基本知識。
2級では、法人税・消費税の知識や予算管理。
1級では資金繰り表の作成や、キャッシュフロー分析などが出題されます。
コンピュータ会計能力検定を受験・取得するメリット
コンピュータ会計能力検定は、日常の経理処理に重点を置いた資格なので、取得することで就職・転職活動の際アピールになります。
実務上求められるレベルは、一般に2級以上となり、取得はさほど難しくありません。
実務への理解を深める手助けという意味で、中小企業の一般社員、財務責任者にとっても有効な検定試験です。
【番外編】海外における財務会計システム関連試験
アメリカでは、会計資格は「Accounting Certificate」と呼ばれ、数多くの種類があります。
Accounting Certificateの効力は、学位の有無により変わります。高校・大学の学位を有する場合は会計業界における専門家として、学位を持たない場合は小売店や中小企業の経理事務員として働くことができます。
取得方法としては、大学の学部で取得する方法と、専門校などで専門プログラムを受講する方法の2つがあります。
大学で取得する場合は、一般的に30単位を必要とし、期間は2年間と長期を要します。
専門プログラムの場合は、1年未満で取得することも可能です。
プログラムの内容としては、ExcelやQuickBooksなどの財務会計システムの取り扱いから始まり、給与計算、税法の知識、ビジネス理論など多岐にわたるそうです。
海外で働きたい方は、受験してみると良いかもしれません。
試験を受けたいが、勉強する時間がない場合は?
今回ご紹介した検定試験は、中小企業にとって、また財務会計などを担当している従業員の皆様にとって、とても役に立つものでしょう。
しかし、日々業務に追われていると、検定試験のために勉強する時間が取れなかったり、受講のスケジュールの予定が合わなかったりなど、難しい面もあります。
そういった企業様には、会計ソフトの使い手のプロフェッショナルを目指さなくても、簡単に財務会計処理ができるシステムの活用がおすすめです。
当社のクラウドERP「キャムマックス」では、財務会計機能が充実しており、初心者でも簡単にご利用頂けるようシンプルなデザインで使いやすさを重視しております。
そのため、ERPでありながら、財務会計システムとしてご利用いただくことも可能です。
この記事を書いた人
下川 貴一朗
証券会社、外資・内資系コンサルティングファーム、プライベート・エクイティ・ファンドを経て、2020年10月より取締役CFOとして参画。 マーケティング・営業活動強化のため新たにマーケティング部門を設立し、自ら責任者として精力的に活動している。