食品業界でよくある悩み「ロット管理を効率よくする方法」
食品業界におけるロット管理は、製品の安全性、品質保持、および効率的な在庫管理を確保するために不可欠です。
こちらの記事ではロット管理の基本はもちろん、メリットや導入における課題や解決策についても解説しています。
ぜひ、最後までご覧ください。
ロットとは?
「製造ロット」を含めて、一般的には大きく3つの呼び方があります。
製造ロット
製造ロットは、一度の生産工程で作られる製品の単位を指します。
この単位は、製造工程の効率化、品質管理の統一、およびコスト削減のために設定された単位であり、製造ロットごとに同じ条件下で生産された製品群を一括りに管理できるため、品質の均一性が保証されます。
最小ロット
最小ロットは、製造者が製品を生産・販売する際に設定する最小単位です。
この数値は、生産コストや市場需要、原材料の調達コストなどによって決定され、製造者が利益を確保しつつ効率的に生産を行うための基準となります。
最小ロットを設定することで、過剰生産や在庫リスクを回避できます。
購入ロット
購入ロットは、製品を購入する際に設定される最小の単位を指し、通常は卸売業者や大口の顧客向けに使用されます。
この単位を設定することで、販売者側はまとまった注文を受けることができることに加え、物流の効率化や在庫管理の最適化を図ることができます。
ロット番号の役割と重要性
ロット番号とは、製造された製品群に付けられる識別コードです。
この番号を通じて、製品の製造日や場所、使用された原材料などの詳細情報を追跡することができます。
食品業界におけるロット管理の必要性やメリット
食品業界におけるロット管理は、製品の安全性と品質を保証し、効率的な在庫管理とトレーサビリティ(生産~流通・販売までの追跡管理)を実現するために非常に重要です。
ロット管理により、製品の製造から消費者への配送に至るまでの全プロセスで、製品情報を正確に追跡し管理することができます。
また、消費者にとっても製品の安全性と品質を保証し、信頼を築く上で欠かせない役割を果たします。
製品の一元管理
ロット管理をすることで、製品を一元管理することが可能になります。
これは製造から流通、販売までの各段階で、製品情報をシステムを使って追跡・管理できることを意味します。
一元管理をすることによりリアルタイムで在庫状況を把握できるため、品質の維持や適切な在庫管理が容易になります。
また、万が一品質に問題があった場合でも、関連するロットを素早く特定し、必要な対応を取ることができるためリスクを最小限に抑えられます。
商品に関する情報が把握しやすくなる
ロットごとに割り当てられた番号を管理システムなどを使って調べると、その商品が作られた日付や賞味期限、使用された原材料、製造ラインなど、製品に関するさまざまな情報が簡単に確認できます。
在庫管理の効率化
食品には賞味期限があるため、正確かつ効率的な在庫管理が不可欠です。
ロット管理を活用することで、賞味期限が近い商品を優先的に出荷する”先入先出法(FIFO)”を実践し、廃棄ロスを最小限に抑えることができます。
また、各ロットごとに製品を追跡することで、全体の在庫量を正確に把握し、過剰在庫や不足を回避できます。
工程管理・業務管理の効率化
ロット番号を使って製品の流れを追跡することで、製造工程の進行状況や品質管理の状態をリアルタイムで把握できます。
これにより問題が発生した場合の迅速な対応や、工程間の円滑な連携が可能になり、全体の生産効率が向上します。
さらに、ロット管理による詳細なデータ収集をすることで、業務の分析と改善にも役立ちます。
トレーサビリティの向上:生産~出荷・販売までの追跡
食品業界におけるロット管理の最大のメリットの一つは、トレーサビリティの向上です。トレーサビリティとは、食品の生産・流通過程を一元的に管理し、どこで生産され、どこを経由して、どこで消費されたかを明確にすることです。ロット管理を導入することで、製造ロットごとに番号を割り当て、その製品の生産から流通、販売に至るまでの全過程を追跡できるようになります。
これにより、品質や安全性の問題が発生した場合にも、出荷した店舗や同ロットの製品が特定できるので、迅速に問題のある商品を市場から回収することができます。
トレーサビリティの向上は、消費者の信頼を獲得し、食品の安全性を保証する上で不可欠だと言えるでしょう。
不良品の迅速な特定
製造過程で不良品が見つかった場合でも、ロット管理が行われていれば同様に生産された製品を素早く特定することができます。
各製品に割り当てられたロット番号をもとに、不良品が生産された時期や条件や使用された原材料などから原因を迅速に特定し、同じロットの製品が市場に出回るのを防ぐことができます。
リコール発生時にもスムーズに対応
不良品が出た製造ロットを特定できれば、リコール対象となる製品の範囲が明確になるため、関係機関への報告や消費者への通知、製品の回収などの手続きを迅速かつ正確に行えます。これにより、リコールによる損害やブランドイメージの影響も最小限に抑えることができます。
ロット管理の悩みや課題
エクセルでのロット管理のデメリット
複数の担当者で管理するのに向いていない
エクセルでロット管理を行う場合、複数の担当者が同時にデータを更新することが難しく、情報の一貫性を保つことが困難になります。
これにより、データの不整合が発生しやすくなります。
扱う点数に限界がある
取り扱う製品の数やロットの量が増加すると、エクセルでの管理では追いつかなくなります。
大量のデータを扱うほどエクセルだと性能上の限界を迎えるため、データの検索や更新が困難になり、作業効率が著しく低下します。
セキュリティのリスク
エクセルは、不正アクセスや紛失、破損のリスクに常に晒されています。
特に、機密性の高い製品情報や顧客情報を扱う場合注意が必要になります。
外部システムとの連携ができない
エクセルの場合、製造から消費者に届くまでの全プロセスを詳細に追跡し記録することは困難です。
特に、リアルタイムでの追跡や外部システムとの連携が求められる場合、エクセルだけでは対応できません。
人的ミスによるデータの誤入力
手動でエクセルデータを入力する場合、誤入力や入力漏れが発生しやすいです。
これにより、在庫の過不足や製品の誤出荷など、重大なミスに繋がる可能性があります。
解決策
これらの課題を解決するためには、在庫管理システムやERP(Enterprise Resource Planning)システムの導入がおすすめです。
これらを活用することで、エクセル管理での様々な問題をクリアします。
製造工程、購買管理、販売管理などのデータの一貫性が保たれるのはもちろん、拡張性にすぐれたスケーラビリティを持ち、クラウドでもセキュリティも万全です。
また、バーコードスキャナーなどを利用すればデータ入力の業務を減らすこともできるため、入力ミスや管理ミスを大幅に減少させることができます。
在庫管理システムの導入でロット管理を効率化しよう
在庫管理システムやERPの導入は、食品業界におけるロット管理の効率化に重要な役割を果たします。
特に、ハンディターミナルの活用など最新のソリューションを導入することは、結果的にコスト削減と品質向上につながります。
ハンディターミナルを活用したロット管理
ハンディターミナルを使用することで手作業によるエラーが減るため、ロット管理が非常に簡単かつ正確になります。
従業員は、製品のバーコードをスキャンするだけでその製品のロット番号や製造日、賞味期限などの詳細情報を瞬時に確認できます。
入庫時であれば、この情報がリアルタイムで在庫管理システムに送信され、在庫数に反映されます。
IoTやRFIDタグにも対応
最新の在庫管理システムは、IoT(Internet of Things)やRFID(Radio Frequency IDentification)タグなどの技術にも対応しています。
これらの技術を活用することで、製品のロット管理をさらに向上させることが可能です。
たとえば、RFIDタグを使うと製品を手に取らずに近くを通るだけで製品情報を自動的に読み取ることができます。
また、IoT技術を利用すると製品の状態(温度、湿度など)をリアルタイムで監視したり、重さなどから数量を割り出したりすることも可能になります。
効率的な保管方法を実現
在庫管理システム(または倉庫管理システム)の導入により、製品の保管方法も効率化されます。
システムは、製品の種類や賞味期限、保管条件などを考慮し、最適な保管場所を自動で割り当てることができます。
これにより、製品の品質を最適な状態で保ちながら保管スペースを効果的に活用でき、出荷時にもスムーズに在庫の保管位置を特定することが可能になります。
コスト削減と品質向上
システム導入には費用やコストがかかりますが、効率的なロット管理と保管方法の実現により、最終的にはコスト削減と品質の向上を実現します。
正確な在庫管理により不要な在庫を抱えることもなく製品の品質も維持することで、廃棄やロスも軽減することができます。
また、製品の追跡と監視が強化されることで、消費者に提供される製品の品質と安全性が向上し、顧客満足度を高めることもできます。
ロット管理に必要な機能がそろったERP『キャムマックス』
キャムマックスではロット管理機能があり、食品業界において仕入・在庫管理の業務効率化に貢献します。
特に飲食業界では、ロット管理機能を活用して賞味期限管理を行うことが可能です。
キャムマックスでロット管理・賞味期限管理をする方法
1.商品マスタ登録画面で、賞味期限管理区分とロットNo管理区分をするに変更します。(初期値はしないになっています。)
2.仕入消込時(入荷時)に賞味期限を入力します。
3. 賞味期限管理をする商品は、在庫確保時に賞味期限の近いものから確保します。在庫の賞味期限は仕入消込画面や在庫年齢画面でも確認できます。
※在庫表画面で特定の賞味期限の在庫を検索することも可能です。
さらに、キャムマックスは生産管理・販売管理・購買管理・財務会計と幅広く対応しております。
この記事を書いた人
下川 貴一朗
証券会社、外資・内資系コンサルティングファーム、プライベート・エクイティ・ファンドを経て、2020年10月より取締役CFOとして参画。 マーケティング・営業活動強化のため新たにマーケティング部門を設立し、自ら責任者として精力的に活動している。