食材発注を失敗したくない!飲食店の発注業務を自動化してロスを防ぐ方法
購買管理

食材発注を失敗したくない!飲食店の発注業務を自動化してロスを防ぐ方法

発注ミスは、食材費の無駄遣いだけでなく、材料不足で商品を提供できなかったりすることで顧客満足度の低下につながります。
適切な量の食材を適切なタイミングで発注するためには、需要の予測やリアルタイムの在庫数を把握をすることが必要になります。

こちらの記事では、これらの発注計算を行うための効果的な方法を詳しく解説しています。

飲食店における食材の発注方式


飲食店の経営において適切な発注管理方法を行えば、コスト削減、食品ロスの削減、業務効率の向上などさまざまな利点が得られるため、食材の発注管理は非常に重要です。


発注方式は主に『定期発注方式』と『定量発注方式(発注点方式)』があり、それぞれにメリットとデメリットが存在します。


定期発注方式


定期発注方式は、一定の周期(週1回、隔週、月1回など)で必要な食材を発注する方式です。


メリット

発注スケジュールが固定されているので、在庫の予測がしやすく、発注業務の計画がしやすくなります。

また、発注回数が定まっているため業務フローも容易なものとなります。


デメリット

在庫数を都度確認し発注数量を計算する必要があったり、売上の変動や予期せぬ需要の増加に対応しづらくなります。

また、発注が一度に多くなるためその時の仕入れ作業の負担が大きくなることがあります。


定量発注方式(発注点方式)


定量発注方式(発注点方式)は、あらかじめ設定した在庫数が一定の”発注点”に達したときに、必要な量の食材を発注する方式です。


メリット


発注点を基準にして発注するため、最低限の在庫で運用でき、過剰在庫や品切れを防ぐことができます。

また、必要な分だけを発注するため食品ロスを減らせることや、発注点が明確に設定されているため属人化を防ぎやすい利点があります。


デメリット


需要の変動が少ない在庫(食材)でなければ適応しずらく、適切な発注点を見つけるには正確なデータ分析が必要になります。

さらに、需要の予測に関係なく機械的に発注するため、繁忙期の品切れや閑散期の在庫余剰が起きやすくなります。


適切な発注点の設定方法


定量発注方式では、”発注点”と呼ばれる特定の在庫レベルに達した時点で商品(食材)を発注します。

この発注点は、以下の計算式を用いて求めることができます。


発注点 = (1日あたりの平均使用量 × リードタイム)+ 安全在庫


1日あたりの平均使用量というのは、過去のデータから求めた商品の1日あたりの平均消費量です。

リードタイムとは、商品を発注してから受け取るまでの平均的な日数です。

安全在庫は、予期せぬ需要の増加や供給の遅延に対応するために保持する追加の在庫量です。


この計算式により、在庫が発注点に達した時点で発注を行うことで、在庫が過剰になりすぎたり逆に不足することを防ぐことができます。

安全在庫の設定量は、過去の需要の変動幅や供給の不確実性を考慮して決定しましょう。


食材によって向き不向きがある


食材の種類によって、定期発注方式と定量発注方式には向き不向きがあります。


定期発注方式に向いている:非生鮮食品

非生鮮食品のように長期保存が可能な乾物や缶詰などは、通常定期発注方式によるまとめ買いが適しています。

これにより発注の管理工数を減らすことができ、量に対しての割引を利用してコストを削減できるケースがあります。


定量発注方式に向いている:生鮮食品

肉や魚、野菜などの生鮮食品は鮮度が極めて重要です。

これらの食材は必要な分だけを適切なタイミングで発注するのが理想的であり、食材の新鮮さを維持しつつ不要な在庫を削減し、食品ロスを減らせます。


飲食店では扱う食材の特性や消費パターンを考慮して、最適な発注方式を選択することが重要です。

多くの場合、これらの発注方式を組み合わせて使用し、各食材の特性に合わせた最も効率的な在庫管理を実現することが望ましいでしょう。

発注ミスを防ぐための実践的アドバイス


在庫管理と発注業務の連携がポイント


在庫管理と発注業務の連携は、飲食店の運営において非常に重要です。

在庫データをリアルタイムで更新し発注業務に反映させることで、過剰在庫や在庫不足を防ぐことができます。

在庫管理システムを活用すれば、発注ミスのリスクを減らし必要な時に必要な量の食材を確保することができます。


在庫量の決め方と適正な在庫量の把握


適正な在庫量の把握は、飲食店のコスト管理と最適な食材消費が可能になります。


在庫量を決定する際には、過去の販売データ、季節的な需要の変動、そして予定されているイベントや予約数・客数を考慮に入れる必要があります。

適正な在庫量を把握することで食品ロスを減らし、無駄な在庫を抱える心配もなくなります。


ABC分析による在庫管理の最適化


「ABC分析」は、在庫品を売上げへの貢献度に基づいて分類し優先順位をつける方法です。

この分析を通じて利益に大きく影響する食材やメニューを見直し、在庫管理の効率を大幅に向上することができます。

ABC分析を定期的に行うことで在庫の最適化を実現し、発注プロセスをさらに改善しましょう。


月1回の棚卸しの実施


棚卸しを通じて、実際の在庫量と帳簿上の在庫量を照合し、差異がある場合はその原因を調査しましょう。

これにより在庫の過不足を正確に把握し、適切な発注量を算出することができます。


発注プロセスを最適化しよう


発注業務をシステム化・自動化することで、手作業によるミスが減り時間とコストを削減できます。

また、在庫管理システムや受発注システムを使用する際には、サプライヤー(仕入先業者)とのシステム連携が可能かどうかを確認することも重要です。

食材の発注を自動化する


飲食店向け 受発注システムの活用


飲食店向けの「受発注システム」は、発注業務を自動化するだけでなく在庫管理や販売データの分析、財務管理などさまざまな機能があり、リアルタイムで在庫状況を把握したり、需要の予測に基づいて発注量を自動調整したりするなど、受発注プロセス全体を最適化することが可能です。


また、多くの飲食店では大きく以下3つのシステムに付随する受発注機能を利用するのが一般的です。


ERP(Enterprise Resource Planning)システム


在庫管理、財務管理、顧客管理など、飲食店運営に関わる幅広い業務を一元管理できるシステムで、中規模から大規模な飲食チェーンや複数店舗を運営する企業に適しています。


在庫管理システム


在庫レベルのモニタリング、発注点の自動計算、過剰在庫や品切れの警告など在庫に特化した管理機能を提供します。

発注プロセスを自動化し、食品ロスを削減するのに役立ちます。


POS(Point of Sale)システム


POSシステムも製品によっては、受発注機能が統合されており、販売データに基づいた発注が可能です。

売上分析から直接発注につなげることができ、効率的な在庫管理を実現します。ERPなどと連携するとより効果を発揮します。


飲食店の規模、必要とする機能、予算などを考慮して最適なものを選ぶことが重要です。また、多くのサービスが無料トライアルやデモを提供しているため、実際に使用してみてから決定することをおすすめします。


 発注方式の使い分けもできる多機能なものを選ぼう


受発注システムを選ぶ際には、多機能なシステムを持つものがおすすめです。


冒頭でも説明した「定期発注方式」と「定量発注方式」を柔軟に切り替えられるシステムであれば、食材の種類や需要の変動に合わせて、最適な発注戦略がとれます。

発注方式を適切に使い分けることで、在庫管理の精度向上とコスト削減を実現することが可能です。


自動化によるメリット


システムを導入し発注業務を自動化することで、飲食店が直面するさまざまな課題を解決しより効率的でコスト効率の良い運営が可能になります。

主なメリットは以下になります。


効率性の向上


手作業による時間消費やヒューマンエラーを大幅に削減します。自動化システムは在庫レベルをリアルタイムで監視し、設定した閾値に達した際に自動的に発注を行うため、スタッフは発注プロセスにかかる時間を大幅に削減できます。


コストの削減


過剰在庫や不足によるコストを削減します。

システムは需要の変動を考慮して最適な発注量を計算するため、不必要な在庫を抱えるリスクが低減します。


食品ロスの削減


適切な発注量を自動的に計算することで、食品ロスを大幅に減少させることができます。

特に鮮度が重要な食材において、過剰な発注を避けることで食品ロスの削減に繋がります。


その他にも一貫性のある発注業務を行うことで、提供メニューの品切れを防いだり、発注業務の時間を短縮することでスタッフの労働を別業務に有効活用することができます。

小・中規模店舗向けクラウドERP『キャムマックス』で発注業務を自動化


キャムマックスでは、購買管理機能の中に発注ミスや発注の工数を下げるための自動発注に関する機能などが搭載されています。


この記事を書いた人

ライター
株式会社キャム 取締役COO

下川 貴一朗

証券会社、外資・内資系コンサルティングファーム、プライベート・エクイティ・ファンドを経て、2020年10月より取締役CFOとして参画。 マーケティング・営業活動強化のため新たにマーケティング部門を設立し、自ら責任者として精力的に活動している。

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