【失敗事例付き】クラウドERPの導入を失敗させないためのポイントとは?
企業の経営戦略に欠かせない存在となりつつあるクラウドERP。
そんな中、クラウドERPの導入に失敗する企業が多いのも事実です。
このような状況のために、導入を悩んでいる企業も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、実際に導入に失敗した事例を紹介。
また、失敗事例のようにならないための解決法を解説していきます。
この記事を参考にして、クラウドERPの導入に成功させましょう。
ERPシステムの目的と利点について
ERP(Enterprise Resource Planning)システムは、企業のさまざまな業務プロセスを統合し一元化することが可能なシステムです。
以下では、具体的な例を挙げながらERPシステムの目的と利点を説明します。
業務プロセスの統合
たとえば、製造業の企業がERPシステムを導入すると、製品の生産管理から入出荷管理、販売管理、在庫管理、財務会計までの全てのプロセスが一元化され、より効果的な業務運営が可能となります。
たとえば、生産部門ではリアルタイムな在庫情報を把握し必要な部品の発注をスムーズに行うことができたり、在庫管理もリアルタイムで在庫数を確認できたり追跡、在庫過剰や在庫切れを防ぐ自動発注機能などがあります。
また、販売部門では最新の在庫情報に基づいて顧客に正確な納期を伝えることができますし、様々な販売チャネルがあっても売上を一つの画面でリアルタイムで確認することができます。
経理部門では手動で売上データを入力し請求書を作成する必要がなくなります。
ERPシステムを導入することで、これらの業務を効率化・自動化することができます。
リアルタイムの情報共有
ERPシステムの導入により、全社員はリアルタイムで最新の情報を簡単に把握できます。
たとえば、営業担当者が顧客からの注文をシステムに入力すると、その情報はすぐに生産部門や物流部門と共有され、スムーズな対応が可能となります。
意思決定の改善
ERPシステムの導入により、正確かつ迅速なデータを提供することで、経営陣は迅速かつ正確な意思決定を行えます。
販売データや在庫データ、財務データなどを活用して新製品の開発やマーケティング戦略や予算計画などの立案が可能となります。
クラウドERPシステムの導入失敗事例3選
クラウドERPを導入しても失敗してしまうケースがあります。
ここでは、代表的な事例を3パターンご紹介いたします。
従業員がクラウドERPシステムを導入する目的が見えていない
クラウドERPの導入にあたって「ERPを導入して何を達成したいのか」が定まっていない場合は失敗しやすいといえるでしょう。
従業員の業務効率を上げたい、複雑化している社内業務システムをまとめたい、残業代を減らしたい。
など様々な理由からクラウドERP導入を検討されていることかと思います。
ただ明確な理由なくいきなり導入してしまうと、少なからず従業員の反応も微妙に・・・。
結果、業務が増えた・使い方がわからないから触らないなど、システムについて消極的になってしまい本来のパフォーマンスを使いきれないままになってしまうことがあります。
そのため、導入前は経営者目線と現場の担当者の目線をきちんと合わすところから始めることが大切です。
クラウドERPシステム製品が多すぎて、「とりあえず」で選んでしまった
クラウドERPと呼ばれる業務システムは国内の会社がリリースしているものだけでも20製品以上あります。
インターネットで検索すると、多くの製品がヒットしてしまうため、慎重に選ばないとうまくマッチしないシステムを選んでしてしまう恐れがあります。
価格が安いと機能も少なかったり、機能は豊富でもUI・UXが悪い、他のシステムと連携が出来ないなど、ミスマッチを起こす原因は様々です。
ですので、価格だけ・機能だけ・ネームバリューだけなどで選んでしまい、結果、思っていた効果が出ず失敗してしまった。ということが多いようです。
トライアルを利用しなかった
Webサイトなどで機能や連携などのスペック、操作画面のキャプチャ画像を確認していても、いざ導入してみたら「使いにくかった」という失敗もあります。
「文字が小さい」「ボタンの位置がわかりにくい」「ページ遷移が複雑」といった操作性の欠点には、実際に操作してみないとなかなか気づかないものです。
使用感が悪いと、社内での活用もあまり進みません。
実際に導入する前に、無料トライアルやデモ版などで操作性を確認しておく必要があります。
ERPシステム導入が失敗する主な原因
経営側と現場の温度差がある(現場からの抵抗がある)
ERPシステムの導入は、従業員の業務内容に大きな変化をもたらすため、従業員からの不満が生じることがあります。
あまりに従業員の理解が得られないと新システムの導入や運用が円滑に進まず、業務改善が難しくなるかもしれません。
このような問題が起こらないようにするには、導入前にトライアル期間を設けてプロジェクトとして会社全体で取り組みを行い、適切なトレーニングや従業員からの意見を聞くなどを行い懸念される部分を払拭するようにしましょう。
不適切なベンダー選定(企業のビジネスニーズを理解していない、技術的なサポートが不十分)
ERPシステムのベンダー選定は、導入の成功において鍵となります。
ベンダーが企業のビジネスニーズを十分に理解していない場合や、技術的なサポートが不十分な場合、導入プロジェクトは失敗する可能性があります。
たとえば、ベンダーが提供するシステムが企業の特定の業務要件に合わないのに推し進めてしまった場合、システム導入の効果は薄くなってしまいます。
また、技術的な問題が発生した際に迅速かつ適切なサポートを提供できないベンダーの場合、問題解決が遅れてビジネスに影響を及ぼす可能性もあります。
ベンダーを選定する際には、業界経験、製品の機能性、サポート体制、そして参照可能な成功事例などを考慮し慎重に選びましょう。
トレーニングが不十分(システムを正しく、または効果的に使用できない)
ERPシステムは複雑であり、従業員が効果的に活用するためには適切なトレーニングが欠かせません。
トレーニングが不足していると、システムの正確な使用や効果的な活用ができず、導入してもうまくいかないこともあります。
そのため、トレーニングは導入プロジェクトの一環として計画し、また導入後も継続的な勉強会などを通じて行うようにしましょう。
クラウドERPの導入を失敗させないためのつのポイント
上記のような導入の失敗事例を踏まえ、クラウドERPの導入を成功させるには、どのようなポイントに注意すれば良いのでしょうか?
業務のボトルネックを明確にする
クラウドERPを導入する前に、社内で業務が円滑に進められていないボトルネックを明確にしましょう。
そして、ボトルネックになっている部門の担当者の業務負担の内容を吸い上げ、それらを解決することを一つの『ゴール』として設定しましょう。
そこから、経営者の目線、他部署も含めた従業員の意見を調整し導入に向けて動きます。
重要なのは、クラウドERPを導入するとどういったメリットが発生するかを共有することです。
たとえば、
・残業を大きく減らすことができる
・生産性がよくなり結果として会社に利益がもたらされることで従業員の給与アップにつながる
など。
そうすることで、全従業員がクラウドERPのメリットを理解でき、導入成功につながります。
優先的に欲しい機能を整理する
まずは、どの機能を優先的に欲しいのかを整理してみましょう。
クラウドERPでは、在庫管理、販売管理、購買管理、財務会計など多くの業務システムが一元管理できるようになっています。
しかし、製品によっては、基本料金では「会計システムだけ」や、「在庫管理機能はあるが、倉庫管理との連携はカスタマイズ」など、仕様がさまざまですので、まずは、欲しい機能が確実に備わっているかを確認する必要があります。
ただ、求めるすべての機能が備わっているクラウドERPを探すことは困難です。そこで、優先順位の高い機能は必須機能として、優先度の低い機能はあきらめるという判断が必要になってきます。
搭載されていない機能については、別途、費用をかけてカスタマイズを行うという選択肢もあります。
無料トライアルで実際に試してから導入する
無料トライアルで実際に触ってみて操作性や使用感を確かめることで、従業員に受け入れられるかどうかを判断できます。
既存のほかのシステムの操作性と近かったり、操作が簡単だったりすれば定着しやすいですが、逆の場合は活用が進まない可能性があります。
社内に定着させ、フル活用してもらうためにも、トライアルやデモなどを経て契約を決断することをおすすめいたします。
自社に合ったクラウドのタイプを選ぶ
クラウドERPには、IaaS、PaaS、SaaSの3タイプがあります。また、プライベートクラウドか、それともパブリッククラウドかという区分もあります。
それぞれ、費用や運用の手間、使い勝手、セキュリティレベルなどに差が出てくるため、自社に合ったタイプを選ぶことが大切です。
すでにIaaS・PaaS型を利用していて運用できるエンジニアが在籍しているのか、それとも、デジタルリテラシーの高い人材がおらず、運用は完全にベンダー任せにしたいのか、など、企業によって体制や要望が異なるため、ベンダーのアドバイスなども受けながら、マッチするものを選びましょう。
クライアントへの影響も考慮する
たとえば、ERPそのものを初めて導入するようなケースでは、あらゆる業務においてアナログからデジタルに切り替わる可能性が高いです。
そのような場合、クラウドERPを導入するタイミングで、クライアントからの受注や、問い合わせ対応などの方法が変わり、クライアント側にも変化に対応してもらわなければならなくなるでしょう。その変化が大きいほど、クライアント側に受け入れてもらえないリスクも高まります。
そのクラウドERPを導入することで、クライアントにどのような影響が出そうか、受け入れてもらえるものかどうかを検討することも重要です。
プロジェクトチームの体制と役割を明確にする
ERP導入プロジェクトでは、適切なプロジェクトチームの組織とメンバーの役割分担が重要です。
プロジェクトマネージャー、開発者(ベンダー)、トレーナー(指導者)など、各メンバーの役割を明確に定義しましょう。
プロジェクトマネージャーは全体の進行管理を担当し、開発者はシステムのカスタマイズや設定を行います。
トレーナーは、現場スタッフや利用者の教育やサポートを担当します。各メンバーの責任範囲を明確にし、役割ごとの業務を効果的に遂行できるようにします。
また、チームメンバー間の円滑なコミュニケーションを促進するために、定期的なミーティングや進捗報告の仕組みを確立しましょう。
ERP導入の成功事例
【株式会社ビッグウイング】受注・出荷管理機能が充実している基幹システム・ERPへのリプレイス
株式会社ビッグウイングは、海外のアウトドア用品の販売や独自ブランドの企画、小売店や問屋への卸売、自社オンラインストアでの販売などを行っています。
会社の成長に伴い、特定の部署の従業員離職率が高くなる課題が浮上しました。原因として、増加する受注や出荷管理業務の負担が大きいことが判明しました。このため、業務フローの見直しと同時に、受注・出荷管理機能が充実している基幹システム・ERPへの刷新を行いました。
そこでクラウドERPシステム「キャムマックス」を導入したことで、受注から出荷指示までの業務負担が一部軽減され、誤出荷の削減にも成功しました。
また、棚卸業務の時間が短縮され、ECと倉庫管理システムとの連携により重複する入力業務についても改善されました。
詳しくは下記ページをチェック
https://www.cammacs.jp/case/bigwing/
【株式会社八天堂】EC事業において複数チャネルの管理を一元化し、業務効率を向上
株式会社八天堂は和菓子店として創業し、その後「くりーむパン」の大ヒットにより全国展開を果たしました。
さらにシンガポール、香港、東南アジア、カナダのトロントなど海外にも進出し、冷凍パンを通販で配送するスタイルを確立し、EC事業も大いに発展しました。その一方で、販売管理業務がシステム化されておらず、自社ECや楽天、Amazon、Yahoo!などの各管理画面から注文確認などの業務を行っており、受注が増えるにつれて業務の手間も増えてしまっていました。
そのため、クラウドERPシステム「キャムマックス」を導入し、複数の販売チャネルを一元化。業務効率を向上させることにしました。
ERPシステムの導入により、各サイトの管理画面の操作方法を覚える必要がなくなり、統一された作業手順で全てのサイトを管理することができるように改善され、その結果業務が特定の個人に依存してしまう問題も解消することができました。
詳しくは下記ページをチェック
https://www.cammacs.jp/case/hattendo/
【株式会社ガリレオ】販売管理や入出庫管理などの業務改善・DX化に成功
株式会社ガリレオは、ネットワークカメラシステムなどの防犯カメラ事業を全国の企業に展開しています。
最近では、防犯意識の高まりや映像解析の需要の増加により、企業が防犯設備の導入を希望するケースが増えています。
これにより、お問い合わせが電話やECから増加し社内の忙しさが増したことから、システムや業務フローの見直しを検討するに至りました。
その結果、販売管理や入出庫管理などの業務改善とDX化を目指すために、弊社のクラウドERPシステム「キャムマックス」を導入しました。
これにより、従来のExcelとシステムの併用から一元管理への移行が実現しました。二重入力や正確なデータの把握に関する問題が解消され、
また、一部の業務が特定の個人に依存していた問題も解決し、アナログ管理による工数削減にも貢献しました。
具体的には、見積書作成機能を活用し、クライアントに対して複数の見積もりを作成しデータ化できるようになりました。
これにより、提案までのプロセスがスムーズになりました。また、社内の在庫状況や売上状況まで把握できるようになったことも良かった点として挙げていただいております。
詳しくは下記ページをチェック
https://www.cammacs.jp/case/galileo/
まとめ
クラウドERPは、導入に成功すれば、業務効率化を中心にさまざまなメリットを享受できますが、失敗に陥ることもあります。明確な目的がないままの導入や、トライアルを経ずに導入した場合などには失敗する恐れがありますので、注意が必要です。
今回の記事でご紹介したようなポイントを押さえて、クラウドERPの導入を成功させましょう。
当社で提供している「キャムマックス」は、有形商材を扱う中小企業様向けのクラウドERPです。
「販売・債権管理」「購買・債務管理」「在庫管理」「財務会計」などの機能に加えて、オプションでWMSや会計システムとのデータ連携もご用意しています。ECも卸も店舗も、まとめて一元管理が可能です。
キャムマックスについて詳しくは、下記ページをご覧ください。
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この記事を書いた人
下川 貴一朗
証券会社、外資・内資系コンサルティングファーム、プライベート・エクイティ・ファンドを経て、2020年10月より取締役CFOとして参画。 マーケティング・営業活動強化のため新たにマーケティング部門を設立し、自ら責任者として精力的に活動している。