アパレル業界向け販売管理システムの特徴と選び方を解説
アパレル業界向けの販売管理システムは、一般的なものとどのように違うのか?
また、販売管理システムの中で特にポイントとなるのが『在庫管理機能(在庫管理システム)』です。
どちらもアパレル運営において重要な役割を果たしますが、それぞれ目的や使い方は異なります。まずは2つの違いを理解しましょう。
目次
販売管理システム
販売に関する全体の業務を管理し、効率的な営業活動をサポートします。
主な機能
受注管理
顧客からの注文を管理し、注文履歴を追跡します。
売上管理
売上データを記録し、一覧や推移を確認します。
請求・入金管理
請求書の発行や入金状況の管理を行います。
販売分析
販売データを分析し、トレンドやパフォーマンスを評価します。
在庫管理システム
商品の在庫状況をリアルタイムで更新し、適正在庫を維持します。
主な機能
入出庫管理
入庫および出庫を記録します。
棚卸管理
定期的な棚卸をサポートし、在庫の正確性を確保します。
発注管理
在庫が一定のレベルに達したときに自動的に発注を行います。
SKU(Stock Keeping Unit)管理
商品のサイズ、カラー、バリエーションなどを詳細に管理します。
両システムを統合して使うのが一般的
アパレル業界を含む一般的な小売店や卸業者では、販売管理を行う上で効率的な在庫管理が必要なことから販売管理と在庫管理はセットで利用される企業が多いです。
ECサイトでのシステム活用例
例えば、ECサイトを運営するアパレル企業の場合、販売管理を使ってオンライン注文を受け付け、その注文データが在庫管理と連携してリアルタイムで在庫を更新します。
これにより、オンラインストア上で表示される在庫情報が常に最新のものとなり、顧客が購入した商品が実際に在庫にないという問題を防げます。
アパレル業界向け販売管理システムの特徴
SKU管理
アパレル業界では商品ごとにサイズやカラーのバリエーションがあり、SKU管理が重要です。
SKU管理ができるシステムは、商品の細かい単位での管理が可能で、在庫状況をリアルタイムで把握できます。
オムニチャネル管理
実店舗、オンラインショップ、BtoC、BtoBなど、様々なパターンの販売チャネルを一元管理できます。
これにより、全チャネルの在庫状況や販売データを統合し、効率的な運営が可能です。
ロケーション管理
複数の倉庫や店舗での在庫を一元管理し、最適なロケーションに商品を配置する機能です。
これにより配送コストを削減し、迅速な商品配送が可能です。
他社システムとの連携によりさらに効率化
アパレル業界向けの販売管理システムには、様々な他社システムとの連携(同期)が可能です。
これによりデータの受け渡しや読み込みを自動で行い、さらなる業務の効率化を図ることができます。
※標準機能として備わっているものや、拡張機能として提供されているものもあります。
モールとの連携
楽天・AmazonなどのECモールでの販売データが販売管理システムに自動で取り込まれます。
商品情報、在庫情報、注文情報を一括して管理することが可能になり、各販売チャネルでの在庫状況や売上データをリアルタイムで把握し、在庫切れや過剰在庫を防ぐなど、迅速な対応が可能です。
カートシステムとの連携
顧客がオンラインで購入した商品情報をカートシステムから販売管理システムに自動で転送します。
また、在庫情報とも連携され発送手続きが迅速に行われるため、顧客満足度が向上します。
RFID・POSシステムとの連携
バーコードによる各商品の管理はもちろん、非接触で読み取ることができるRFIDや、POSレジと連携したデータ管理をすることも可能です。
会計システムとの連携
売上や請求書のデータを会計システムに自動で連携します。これにより売上の計上や経費の管理を自動化されるため、財務データの正確性が向上し、経理業務の効率化が図れます。
倉庫管理システム(WMS)・物流システムとの連携
倉庫管理システムや物流システムと連携し、倉庫内の入出庫情報などをリアルタイムで共有され、各拠点に点在する在庫の情報を一元管理できます。
また、発送指示や納品書の発行も自動化されるため、在庫管理と物流管理が統合され、効率的な配送業務が実現します。
顧客関係管理システム(CRM)との連携
購入履歴や行動データを顧客関係管理システムと連携することで、顧客ごとの最適なマーケティング活動がおこなえます。
キャンペーンやクーポンの配布などの施策により、顧客満足度の向上やリピーターの獲得に繋がります。
外部システムと連携した活用例
例えば、あるアパレル企業が自社のECサイトとAmazonや楽天などのECモールで商品を販売している場合、これらの販売チャネルからの注文情報をすべて販売管理システムに統合します。
さらに、倉庫管理システム・物流システムと連携して、受注後の在庫引き当てや発送手続きを自動化します。
これによりすべての販売チャネルでの在庫状況を一元管理でき、各チャネルでの在庫切れや過剰在庫を防ぐことができます。
販売管理システムの選び方・ポイント
アパレル業界向けの販売管理システムは多数ありますが、どのようなポイントに注意して選べば良いのでしょうか。
目的と要件の明確化
システム導入の目的を明確にします。例えば、在庫管理の効率化、販売データの一元化、顧客管理の強化などがあります。
その上で、各販売管理システムではSKU管理、返品管理、入庫管理などどのように行なっているのか確認することが必要です。
システムの柔軟性とスケーラビリティ
企業の成長や業務工程の変化を見据え、取り扱う商品点数や販売チャネルの拡大しても長く使えるシステムを選びましょう。
さらに、大量のデータやトランザクションを処理する能力があるかも重要です。
また、標準機能だけでは不十分な場合に備えて、カスタマイズの有無や追加オプション・システム連携が可能かなどの確認も必要です。
他システムとの連携
すでに利用しているシステム(モール、カート、会計システム、WMS、CRMなど)との連携が容易にできるか確認します。また、連携するシステム間でデータの一貫性が保たれるかをチェックします。この場合、データの同期がリアルタイムで行われるものが望ましいです。
サポートとメンテナンス
導入後のサポート体制が整っているか確認します。
特にトラブル発生時の対応や、定期的なメンテナンスが行われるかどうかを確認します。
また、クラウドサービスの場合、システムのバージョンアップや機能追加が定期的に行われるかも重要です。
コストとROI(投資利益率)
導入、運用、保守を含めた総コストを把握します。その上で、システム導入による具体的な効果やメリットを評価し、投資利益率を算出します。効率化による人件費の削減や売上増加の見込みを明確にします。
販売管理システムはキャムマックスにおまかせください!
クラウドERPキャムマックスは、販売管理だけでなく、生産管理、在庫・倉庫管理、購買(仕入)管理、財務会計までを一元管理できるシステムです。
とくにアパレル業界との相性は良く、商品の規格(サイズ・色)なども複数登録ができるので、SKUが多くてもきっちりと在庫数や売上点数の管理が簡単にできます。
また、自社で生産している場合は生産管理機能を利用することで正確な生産量の把握、出荷の予定の管理などをすることが可能ですし、仕入れの場合、取引先が外国であっても、各国にあわせた為替を設定できる機能もあり、正確な数字の管理ができます。
その他のアパレル向け販売管理システム
アラジンオフィス for fashion
株式会社アイルが提供する『アラジンオフィス for fashion』は、アパレル業界向けに特化した販売管理・在庫管理システムです。
商品ごとのカラー・サイズ別の管理を可能にし、在庫や販売データをリアルタイムで追跡・管理します。
クラウド対応により、テレワークや在宅勤務にも対応しています。
主な機能
- 在庫管理:商品のカラー・サイズ別に在庫を管理し、リアルタイムで在庫状況を把握できます。
- 販売管理:販売データを一元管理し、売上分析やトレンド把握に役立てることができます。
- POS連携:高機能クラウドPOSレジと連携し、店舗での販売データをシステムに統合します。
- ECサイト連携:ECサイトの販売データを一元管理し、在庫の不一致を防ぎます。
- 顧客管理:顧客情報やポイントを一元管理し、顧客満足度の向上に寄与します。
アパレル管理自動くん
株式会社dual&Co.が提供する『アパレル管理自動くん』は、アパレル業界に特化した販売・在庫管理システムで、小売業と卸売業の両方に対応しています。顧客分析や多店舗管理、EC連携など、多様なアパレル業務をサポートします。
主な機能
- 顧客分析:顧客の購買履歴を分析し、マーケティング活動に役立てます。
- 多店舗管理:複数店舗の在庫や売上を一元管理し、効率的な店舗運営をサポートします。
- EC連携:ECサイトと連携し、オンラインとオフラインの在庫を統合管理します。
- 受発注管理:受注から出荷までのプロセスを効率化し、正確な在庫管理を実現します。
Creative Vision.NET
株式会社ディー・ティー・ピーの提供する『Creative Vision.NET』は、アパレル業界向けの販売・在庫管理システムで、リアルタイムにデータを一元管理します。クラウド対応のDXソリューションであり、業務の効率化とデータの統合を実現します。
主な機能
- データ一元管理:販売、在庫、顧客管理を一つのシステムで統合管理し、リアルタイムで状況を把握します。
- 多角的分析:独自のBIツール『C.P.A』を使用して、多角的なデータ分析を行い、新たな販売戦略を支援します。
この記事を書いた人
下川 貴一朗
証券会社、外資・内資系コンサルティングファーム、プライベート・エクイティ・ファンドを経て、2020年10月より取締役CFOとして参画。 マーケティング・営業活動強化のため新たにマーケティング部門を設立し、自ら責任者として精力的に活動している。