自動発注システムなら簡単に在庫の適正化が実現!業務の効率化におすすめ
自動発注とは、原材料を必要とする製造業や商品を販売する小売業などで必須となる発注業務をシステムで自動化する仕組みです。
手作業やエクセルなどで行う発注業務には工数がかかり、ミスも増えるといった課題がありましたが、自動発注システムはそれらを解決してくれます。
目次
発注業務の課題
従来のような手作業で発注業務を行う場合に課題となっているのは、以下のような問題です。
人的ミス
発注担当者が注文書の記入ミスや数え間違い、計算ミスなどをしてしまうことがあり、その結果商品の不足や余剰が発生するケースがあります。
属人化
需要予測や発注点の計算には数式の知識に加え、自社のデータを参照する必要があるなど誰もが簡単にできるというわけではありません。
こうしたことから、いつも決まった従業員に頼ってしまうというケースが見られます。
連携が難しい
「社内の様々なデータを元に発注量や発注点を決めたいが、手作業ではすぐに参照することができない」という問題があります。
特に複数の部署の発注をまとめて行う場合などは、各部署とのスムーズな連携がないと時間がかかってしまいます。
自動発注とは?
自動発注とは、在庫管理や生産管理などのシステムによって、一定の条件が満たされた場合に自動的に発注を行う仕組みのことを指します。
具体的には、在庫が一定数以下になった場合や、納期に間に合わなくなる場合など、あらかじめ設定した条件に応じた発注が自動的に行われます。
自動発注は、生産性の向上や在庫の適切な管理、納期の遵守などに貢献することが期待されています。
自動発注の仕組みや発注点について
自動発注において発注点とは在庫数量の最低ラインを指し、あらかじめ設定した発注点に達すると自動的に発注が行われるようになっています。
例えば商品の発注点を50個に設定した場合、在庫数が50個以下になると自動的に発注が行われ、51個以上になると発注が停止するという仕組みです。
発注点は、「1日の平均出荷量×調達期間+安全在庫」という計算式で求められますが、自動発注ではこの計算を自動で行います。
自動発注システムとは
自動発注システムとは、企業や店舗などの在庫管理において在庫数を監視し、あらかじめ設定された発注点や発注量を元に必要な商品を自動的に発注するシステムです。
欠品や在庫過剰を防止し、効率的な在庫管理を実現することができます。
自動発注システムは、バーコードリーダーやRFIDなどの自動認識技術を活用し、商品の入出庫を自動的に把握することで、リアルタイムな在庫情報を管理することができます。
また、発注履歴の管理や在庫数の予測機能がついていることも多く、在庫管理にかかる手間や時間を大幅に削減することができます。
自動発注システムの機能
自動発注システムは、さまざまな機能により効率的な在庫管理をサポートします。
以下では、その主要な機能について解説します。
需要予測
需要予測とは、自動発注システムは過去の売上データや需要の傾向を分析し将来の需要を予測する機能で、在庫過多や品切れを防ぐことができます。
在庫最適化
在庫最適化機能とは、在庫の最適な数量と保管場所を決定し必要な在庫レベルを最小化しつつ、顧客サービスレベルを維持することで
在庫コストを削減できます。
発注提案
発注提案機能とは、需要予測と在庫最適化の結果を基に、在庫が一定のレベルに達したときに発注する必要があるかどうかを判断し、適切な商品と数量を発注するための提案をしてくれます。
これにより、発注プロセスがスムーズに進行し、人為的なミスが減少します。
レポートと分析
レポートと分析機能は、在庫状況・販売成績・発注履歴などのデータを可視化します。
事業やプロダクトの意思決定を行う際の判断材料として使えます。
自動発注システムの種類
自動発注システムの中でも含まれる機能や発注点の計算方式が異なります。
近年増加中なのはAIなどが需要予測を行う機能がついた自動発注システムで、この場合は最適発注点の計算や設定を行わなくてもすべて自動で発注が可能です。
需要予測機能がついていても、自社のデータではなく業界の平均値などを参照しているシステムや、過去のデータをもとに算出した予測を使っているシステムもあります。
最も手動に近いのが需要予測機能が付いておらず、単純に売れた分だけ自動で発注する、あらかじめ決めておいた発注点に達したら自動発注するといったシステムです。
もちろん需要予測から最適在庫を自動発注してくれるシステムの方が効率的ですが、それなりに費用もかかるため、予算との比較検討が重要になります。
自動発注システムを運用する上でのポイント
自動発注システムを運用するためには、いくつかの重要なポイントがあります。
データの正確性と信頼性を確保する
自動発注システムのメカニズムは、すべてデータに依存しています。
そのため、正確で信頼性のあるデータを入力し定期的にデータの品質を確認・メンテナンスすることが重要になります。
誤ってデータを入力してしまうと、在庫管理のトラブルを引き起こす可能性があるので注意が必要です。
パラメーターの設定と最適化
自動発注システムは、在庫の量、発注の数量、リードタイムなどのパラメータを最適な状態に調整した設定に基づいて機能します。
利用している中で、定期的な見直しや改良(チューニング)を行うことも運営する上では重要なポイントです。
スタッフのトレーニング
自動発注システムの導入に関して、運用スタッフはシステムの正しい使用方法を理解するために導入前のトレーニングや研修を受ける必要があります。
また、アップデートなどがあれば内容を確認し研修を行うなど継続的な取り組みが必要になります。
そのため、システムを提供するベンダーからのサポートを積極的にもらうようにしましょう。
自動発注システム導入のメリット
人が計算して発注業務を行っている場合に自動発注システムを導入するとどのようなメリットがあるのか見ていきましょう。
過剰在庫や在庫不足の削減
自動発注によって在庫数を最適化することができます。発注点を設定することで、在庫不足をなくし、発注数を調整して過剰在庫を防止することも可能です。
発注業務の工数削減
自動発注システムによっては需要予測に基づき自動で発注点を計算して最適な在庫数を発注してくれる機能がついていることがあるため、人が複雑な計算を行う必要が無くなります。
自動発注によって発注手続きの手間や時間を削減するだけでなく、人為的なミスや遅延を減らし、生産性を向上させることができます。
コスト削減
自動発注によって、発注処理の手間や人件費を削減することができるほか、適切な在庫管理によってコストの削減につながります。
自動発注システムのデメリット
このように便利な自動発注システムですが、これまでの発注方式を変えることからうまく使いこなせずに無駄な投資となるケースも多くなっています。こうした負の側面を挙げてみます。
導入に時間や費用がかかる
自動発注システムを導入する際は構築や運用管理に必要なコストや時間がかかることに加え、従来の発注方式から切り替えるにあたって関係業務の流れも変更しなければならないことが考えられます。
自動の範囲が限られる
需要予測から発注まですべて自動というものもありますが、自動発注システムによっては、あらかじめ設定された発注点に基づいて発注が行われるものもあります。
その場合は、結局人の手で予測を行い発注点を決めるという作業が発生するため、見極めを誤ったり設定を間違えた場合に誤発注となる可能性があります。
自動発注システムの導入費用・値段の目安
自動発注システムの導入費用については、企業の規模やニーズに応じて変動しますが、ゼロからシステムを構築する「フルスクラッチ開発」が最も高額になります。高額の中にも幅があり、導入費用は数百万円から数億円、運用費用は月間で数十万円から1千万円を超える場合があります。
一方、中小企業などではクラウドで利用できるパッケージの自動発注システム(または受発注システム)を利用することが一般的です。導入費用がリーズナブルで、迅速に導入・運用できます。運用費用は取引件数や商品の種類、利用ユーザー数などに応じて変動しますが、数千円から十数万円の範囲で抑えられます。
・フルスクラッチの場合
導入費用:数百万円~数億円
運用費用:数十万円~1千万円超
・クラウドの場合
導入費用:数万円~数十万円程度
運用費用:月額数千円~十数万円程度
また、クラウドの受発注システムは、無料お試し期間が用意されているものものも多く、コストをかけずじっくり自社に合うものを選べるのも嬉しいメリットです。
小売業界での具体的な導入事例
薬局・ドラッグストアの『キリン堂』が自動発注システムを刷新
キリン堂は関西地区を中心に371店舗のドラッグストアと調剤薬局を展開しており、厳しい競争環境の中で業務システムの改善に取り組んでいます。これまでの課題として、欠品や過剰在庫の発生、現場での手作業の多さが挙げられていました。
そんな中、発注業務の効率化を目指して、株式会社シノプスが開発した需要予測型自動発注システムを全店舗に導入することを決定。
シノプスの自社システム「sinops-R6」をベースにドラッグストア向けに改良を加え「sinops-DgS(シノプス-ドラッグストア)」としてリリース。このシステムの導入により、欠品数の27%の改善と日配品の発注時間の50%削減が期待されています。
スーパーの『ヤオコー』がAI需要予測に基づく自動発注システムで業務効率化を実現
ヤオコーは、2022年11月にAIを活用した需要予測型自動発注システムを全182店舗で稼働させました。
このシステムは、日立製作所の「Hitachi Digital Solution for Retail/需要予測型自動発注サービス」をベースに、オプティマムアーキテクト社の「Category Profit Management」のコア技術を組み合わせて開発されました。
AIを利用して需要を予測し、適切な発注量を提案してくれます。店舗のスタッフはシステムが提案する発注量を確認するだけで、朝の発注作業を簡単に完了することができます。
また、消費期限の短い日配品についても需要と適正在庫を正確に予測することが可能です。
このシステムの導入により、発注業務にかかる時間を約3時間から約25分へと大幅に短縮し、在庫も15%削減することに成功しています。
システムは棚割計画も考慮に入れ、商品の棚落予定日に向けて販売ロスを最小化しながら発注停止を提案してくれます。消費期限の長い商品については、納品を前倒しして毎日の納品量を平準化することで、効率的な在庫管理を実現しています。
自動発注システム導入・活用に失敗しないためのコツ
自動発注システムを導入する前や導入後にうまく活用していくために注意したい点を確認していきます。
導入前の検討を慎重に行う
自動発注システムが自社の業務フローに合っているか、導入に伴うコストや期間はどれくらいかかるのか、導入後の運用体制をどうするのかなどを導入前に検討しておくことをおすすめします。
特に同じ自動発注システムでも自動で行われる範囲がそれぞれ異なるため、注意が必要です。
研修を怠らない
自動発注システムを導入したからと言って、従業員は何もしなくてもよいというわけではありません。
需要予測や適正在庫のあり方などに関する知識を身につけ、システムの仕組みを理解しておくことでより運用の精度が高くなります。
キャムマックスは自動発注ができるクラウドERPシステム
キャムマックスは中小企業向けに開発されたERPシステムで、在庫管理機能から財務会計まであらゆる業務をひとまとめにして効率化することが可能です。
従来の手作業で発注業務を行っている場合には、前日の売上や入荷予定情報、在庫情報を出力してエクセルで発注検討資料を作る作業に時間がかかって困るという声も増えています。
キャムマックスは、店舗や商品ごとの適正在庫数を管理することができ、自動発注機能で発注検討データを出力することができます。また、これをそのまま発注データとして登録することも可能です。
高い費用は払えないという場合でも、キャムマックスは月額7万円からご利用いただけますので、自動発注システムの導入をお考えの企業様は、ぜひ一度ご相談ください。
この記事を書いた人
下川 貴一朗
証券会社、外資・内資系コンサルティングファーム、プライベート・エクイティ・ファンドを経て、2020年10月より取締役CFOとして参画。 マーケティング・営業活動強化のため新たにマーケティング部門を設立し、自ら責任者として精力的に活動している。