卸売業・小売業における業務とERPの関係
#ERP#業務効率化#各論皆様は自社のビジネスモデル、業務、システムがどのように相互に関係しているか、全体感を示しながら説明することができるでしょうか。 「そういうことは経営者が考えることだ」と思う方もいらっしゃるかもしれません。 はい、確かにそういうことは経営者であれば絶対に考えなければなりません。 一方で、部門の管理者・担当者であってもご自身が担当されている業務だけではなく、自社全体の業務・システムをざっくりとでも俯瞰することができた方が、部門横断的な各種施策を検討する際に全体最適を考慮した検討ができるとは思いませんか。 基幹業務システムであるERP、さらにERPを基軸としたAPI連携等を活用した経営の見える化や業務効率化を検討する場合には、なおさら上記の「俯瞰力」は重要となってきます。 今回は、卸売業・小売業を例に全体的な業務の流れと当社が開発・提供するERP「キャムマックス」の管理機能・API機能がどのように関連するかについて説明します。
卸売業、小売業の一般的な業務の流れをつかむ
それでは早速、卸売業・小売業の業務を整理してみましょう。 業務に加えシステムを考慮するとやや複雑になるため、先ずは業務のみの流れを把握したいと思います。 多くの企業では下記の通りに整理できるのではないでしょうか。なお、カッコ内は主な担当部門や担当者(職種)を意味します。
1. 受注
① 見積
- 見積書の作成・提示(販売・セールス)
② 契約
- リーガルチェックの上、取引契約の締結(販売・セールス)
- 新規の場合、顧客登録(経理)
③ 受注
- 注文書の受付・確認(販売)
- 受注伝票の発行(経理)
- 注文請書の送付(経理・総務)
2. 梱包から納品
① 梱包・出荷・配送
- 出荷指示書等の作成(物流事務)
- 梱包(倉庫職)
- 配送手配(配車係)
- 納品書等の作成(物流事務)
- 出荷(倉庫職)
- 配送(ドライバー)
② 納品・その他
- 納品、受領書の押印(ドライバー)
- 売掛金発生、記録(経理)
3. 請求
① 請求
- 請求書作成・送付(経理)
② 入金確認・回収
- 支払額と請求額の突合(経理)
- 上記に相違ある場合、連絡・回収(経理or販売・セールス)
- 入金伝票の作成、記録、消込(経理)
4. 購買・仕入
① 見積
- 購買依頼書をもとに見積書を取得(購買・仕入)
② 契約
- リーガルチェックの上、購買契約の締結(購買・仕入)
- 新規の場合、仕入先登録(経理)
③ 発注
- 発注書の作成(経理or購買・仕入)
- 発注書を仕入先へ提示(購買・仕入)
- 仕入先からの受領連絡で発注完了(購買・仕入)
④ 入荷・検収
- 入荷(倉庫職)
- 検収(倉庫職or購買・仕入)
⑤ 支払
- 仕入伝票の作成(経理or購買・仕入)
- 買掛金発生、記録(経理)
- 商品有高帳に記録(経理)
- 支払先からの請求書に基づき支払(経理)
- 出金伝票の作成、記録、消込(経理)
5. 入出庫・保管
① 商品受入
- 入出庫の記録(倉庫職or物流事務)
② 棚卸
- 実地棚卸(経理&購買・仕入)
- 記録と実数が異なる場合は在庫データを修正(経理)
③ 購買・仕入依頼
- 定期発注点方式や定量発注点方式等の発注方法に基づき購買依頼(購買・仕入)
以上は、かなりざっくりとした粒度での整理ですが、これだけでも多くの業務と担当部門がつながっていることがイメージできるかと思います。
出来れば上記のような箇条書きで整理した後に、部門と業務を軸に、矢羽や矢印等のオブジェクトを用いたイメージを図示するとより理解が深まるかと思いますので是非チャレンジしてみてください(中小企業が挫折する「マスタ登録」という名の鬼門参照)。 また、もう少し細かく会社全体まで俯瞰したいということであれば上記に加えて下記の業務を整理してもよいでしょう。
- 販売・セールス部門の分業・共業化(例: マーケティング、インサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセス)
- システム部門特有の業務(例: システムの選定、導入、サポート、保守・運用)
- 経理部門特有の業務( 例: 上記以外の取引の記録・仕訳といった経理業務、試算表や決算書作成等の会計業務、資金繰りや資金調達等の財務業務等)
- 総務・庶務部門特有の業務
- 人事・労務部門特有の業務
- 法務部門特有の業務 等々…
本コラムの主眼である「卸売業・小売業における業務とシステムの関係をつかむ」という話でいくと、ここまで整理してしまうと傍流の議論になりそうですが、全体感をつかむという意味では経営陣や部長クラスといった上層部の方には一考の余地があると思います。
いずれにしても、こうした整理によって中小企業であっても非常に多くの活動をしていることが分かるかと思います。 重要なのは、こうした全体像を把握してはじめて自分の立ち位置を理解でき、全体最適化を図ることができるということです。
業務全体を理解できれば、ERPで管理したい領域が自ずと明らかになる
手前味噌ですが、当社のクラウドERP「キャムマックス」を紹介させていただきます。 下のイメージ はキャムマックスの強みであるリアル店舗・EC・卸といったオムニチャネルの一元管理ができる仕組みを図示したものとなります。
本コラムの前半で整理したように、卸売業・小売業には受注してから商品を梱包・出荷・配送・納品し、代金を請求するという「販売・債権に関する業務」が発生します。また、商品を仕入れ、保管し、その代金を支払うという「購買・保管・債務に関する業務」があります。更にこれら一連の取引を正確に記録し、決算書等の計算書類に反映され、借入等の資金調達の際に活用される「財務会計に関する業務」に紐づいています。 したがって、(ECを展開しているか否かに限らず)卸売業・小売業に最低限必要なERPの管理機能は下記の通りです。
- 店舗管理機能
- 販売管理機能
- 購買管理機能
- 在庫管理機能
- 債権管理機能
- 債務管理機能
- 財務会計機能
また、下記のシステム・機能とERPが連携していればより便利になります。
- 倉庫管理機能(WMS)
- 決済システム
- 請求書システム
- 送り状システム
- 印刷システム
- こうした業態特有の基幹業務をERPでしっかりと一元管理した上で、販売・セールス、人事・労務、法務等の業務を効率化するためのシステム導入をしていくことが重要です。
(宣伝になりますが…)「キャムマックス」には卸売業・小売業に適した管理機能、API連携が充実しています。リアル店舗・EC・卸といったオムニチャネルの一元管理にお困りの企業様は是非ともご検討いただけますと幸いです。
まとめ
後半から当社製品の宣伝に寄った内容となっておりますが、当社製品をご検討いただくか否かにかかわらず、業務の全体を俯瞰し、ERPで管理すべき領域や機能を洗い出すということは極めて重要です。 日本経済を支える中小企業様のお役に少しでも立てるように、これからも(宣伝をはさみつつ)有意な情報発信をしていきたいと思いますので、お付き合い下さい。
この記事を書いた人
下川 貴一朗
証券会社、外資・内資系コンサルティングファーム、プライベート・エクイティ・ファンドを経て、2020年10月より取締役CFOとして参画。 マーケティング・営業活動強化のため新たにマーケティング部門を設立し、自ら責任者として精力的に活動している。