クラウドサービスは着脱可能な「カードリッジ」と捉えよ

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クラウドサービスは着脱可能な「カードリッジ」と捉えよ

新しいシステムを導入し、既存の業務フローの中に組み込むとなるとどうしても検討やテストのための時間がかかってしまいますよね。他の回で説明してきましたが、「目的を決め現状を把握する。目的と現状の差を課題と認識し、課題解消の優先順位を付ける。チームを作り、スケジュールを立てる。」といったプロセスは、システムの導入に関わらず何か新たな取り組みを始める前に粗方考えておくべき大事なポイントです。

しかし、周囲の環境はあなたをいつまでも待ってはくれません。考えるあまりいつまでたっても先に進まないのでは本末転倒ですので、「クイック・アンド・ダーティ」の精神で多少精度が粗くても早く形にしていくことが成功への近道です。 今回は、クラウドサービスが「クイック・アンド・ダーティ」な思考との親和性が高く、上手く使えばあなたが成し遂げたい経営・業務上の目標をできるだけ早く形にすることができ、仮にうまくハマらなくてもすぐにやめて他のサービスを使えば良い、といった内容をお届けします。

クラウドの良さはすぐに利用可能な「手軽さ」とキャッシュフローの「平準化」にある

クラウドはPC・スマホ・タブレットといったデバイスとインターネット環境があればいつでもどこでも接続・利用できるサービスです。 申込から利用開始までに時間を要さず、すぐにサービスを利用することができますし、また料金も月額制・定額制を採用しているケースが多くございますのでキャッシュフローの平準化に繋がります。 前回の「コロナ禍で思い知ったキャッシュ・イズ・キング」 で説明したように、キャッシュフローは経営の生命線ですので、 変額制よりも定額制のサービスの方が将来キャッシュフローの予測可能性を高める意味で有用です。

一方で、サービス自体をすぐに使えることは理解しているが、データ移行やマスタ登録、その他設定、運用ルールの整備等に時間がかかるので、 実際問題としてはすぐには使えないという声を多く耳にします。いきなり本番、しかもやりたいことの全てをやるとなるとクラウドといえど利用するまでに相当の時間を要するでしょう。 そういう時こそ「クイック・アンド・ダーティ」を思い出して下さい。何も一発で完全・完璧を求める必要はなく、青写真を思い描きながらもできることからどんどん形にしていくのです

それはどういうことか?を、当社のクラウドERP「キャムマックス」を例に説明します。 手前味噌ですがキャムマックスは中小規模の卸売・小売業にピッタリのERPです。例えばリアル店舗とECをどちらも複数店舗を展開していて、しかも法人取引(卸)もしているという企業様は多くございますが、 キャムマックスであればそれらの販売・購買・在庫を一元管理するだけでなく財務会計にも紐づけたいというニーズを、カスタマイズをすることなく満たすことができる、ありそうでなかったタイプのクラウドERPだと自負しています。 しかし一方で、受注から財務会計までシームレスに管理できるといっても、関連するデータやマスタは多岐にわたり、また関係する部署・人員も多くなりますので、それらを一気に進めようとすると利用開始までに一定の時間を要してしまうことも事実です。

そこで、例えば販売管理だけを一元管理する等、最も優先して達成させたい目標を特定し、必要最低限の準備を済ませ先ずは使ってみる、更に言えば販売管理の一元化だけでも骨が折れるということであれば、 販売の中でもリアル店舗の管理、例えばPOS(販売地点)システムとの連携だけに絞って、使い勝手が分かってきたら次はECとの連携という風に段階的に利用の幅を広げていくのも手です。 このように無理のない範囲で少しずつ形にしていくことで、ユーザーにもクラウドERPの利便性を早期に実感してもらうことができ、結果として定着化に繋がっていくのです。

すぐにやめることができるのもクラウドの良さである

一方で、残念ながらキャムマックスが自社のビジネスモデルにどうしてもハマらなかったというケースも考えられます。 キャムマックスはクラウドERPの中でも有形商材を複数のチャネルで取引するビジネスモデルには非常に有効なサービスなのですが、例えば役務提供等の無形商材を販売するビジネスモデルには正直向きません。 通常あり得ない極端な例ですが、無形商材を販売するビジネスを展開する企業が顧客・案件管理をするためにクラウドERPの利用を検討していたとして、キャムマックスの利用を決めたとしても、機能として使えるのは販売管理や財務会計くらいでしょうし、 本来利用すべきはERPよりもSFA(営業支援システム)やCRM(顧客管理システム)のハズですから、早晩この試みは失敗に終わることは誰の目にも明らかでしょう。 また、キャムマックスではなくSFAやCRMの利用を決めたとしても、現状の業務に適合するようコテコテなカスタマイズをしている場合も注意が必要です。 いくらクラウドベースのSFAやCRMを使っていると言っても、コテコテにカスタマイズをしていては、当該カスタマイズSFA・CRMの依存度が高まり、他に良いクラウドサービスが登場しても容易に乗り換えることができなくなってしまいます

クラウドサービスは可能な限り既製品をそのまま使い、もっと便利なサービスが出た時のために容易に乗り換えることができるようにできるだけ構成をシンプルにしておく方が良いと考えます。その為には、現状の業務にクラウドサービスを合わせるのではなく、クラウドサービスに業務を合わせる逆の発想が重要です。また、不足している機能を充足させる手段はAPI連携(外部システムとの連携)等の手法を使ってサービスとサービスを「繋ぐ」「リンクさせる」程度に抑え、カスタマイズは最後の手段として可能な限り使わないことです。 クラウドサービスとは詰まるところ着脱可能な「カードリッジ」であり、社内外の環境の変化に合わせて、着けたり離したりして常に最適な組み合わせを模索していくくらいの感覚を持っておいた方が良いでしょう。キャムマックスもクラウドサービスですから着脱可能な「カードリッジ」の一つです。もちろん、「着」はあっても「脱」はないように頑張りますが・・・(汗)

まとめ

今回のキーワードは「クイック・アンド・ダーティ」と「カードリッジ」でした。人にもシステムにも過度に依存せず、自社を取り巻く激しい環境変化に順応していくためには大事な思考・発想だと思います。そのような思考・発想に立つユーザーやクライアントが増えれば、ベンダーもカスタマイズ在りきのサービスではなく、クイックにそしてリーズナブルに使ってもらえるサービスの方を世に送り出すムードが高まり、 それが特に経営資源に限りのある中小企業にとってのベネフィットに繋がるのではないでしょうか。国の経済を支えているのは紛れもなく法人数99%以上を占める中小企業ですが、これは何も日本に限ったことではないでしょう。我々は中小企業の皆様が付加価値の高い製品・サービスを生み出すことに集中してもらえるよう、キャムマックスをもっともっと便利なサービスにして、中小企業の皆様の業務効率化を支援してまいります。

この記事を書いた人

ライター
株式会社キャム 取締役COO

下川 貴一朗

証券会社、外資・内資系コンサルティングファーム、プライベート・エクイティ・ファンドを経て、2020年10月より取締役CFOとして参画。 マーケティング・営業活動強化のため新たにマーケティング部門を設立し、自ら責任者として精力的に活動している。

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